Q | 自動車のガソリンタンクは「金属」というイメージがあるので、プラスチックの<エバール>が採用されたと聞いて、少し意外に感じたんですが。 |
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A |
従来、自動車のガソリンタンクは金属製が主流でしたが、今はプラスチック化が進んでおり、欧州では約90%、米国では約70%がプラスチック製ガソリンタンク(PFT=Plastic Fuel Tank)なんですよ。(1)軽量化できる、(2)さびない、(3)自由な形に成形しやすく狭いスペースを最大限に利用できる、(4)金属製によく使われるサビ防止の鉛コートが不要なため環境にやさしい、という長所が大きな理由です。 |
Q | <エバール>はどんな役目をしているんですか? |
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A |
イラストのように、ポリエチレン樹脂に<エバール>を挟んで使用します。一般的には「排気ガスが環境を汚染する」と思われがちですが、これに加えて、ガソリンから炭化水素が揮発しており、これも大気汚染の原因になっているんです。金属製ガソリンタンクからは炭化水素はほとんど大気中に出ることはありませんが、イラストのようにPFTからは素材のプラスチックの分子レベルの微細な穴を通して、微量ですが炭化水素が大気中に出ていきます。1台では微量でも、車社会の今日では大量となってしまうので、欧州、米国、日本のそれぞれで揮発量に対する法規制が最近厳しくなってきているのです。そこで自動車メーカーはその法規制値以下にガソリンの揮発量を抑えるため、従来のポリエチレンなどの単一素材を使ったPFTから、優れた炭化水素遮断性をもつ<エバール>を使用したPFTに切り替えていっているのです。しかも<エバール>使用のPFTは、製造工程内でのリサイクルにも対応でき、焼却しても有害物質が出ないため環境にやさしいんですよ。 |
Q | 今後の展望は? |
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A | <エバール>使用のPFTは米国で先行し、'94年から採用が始まっています。その理由としては、米国で環境保全意識の高まりの中で、'95年より法規制が一段と厳しくなってきたことが挙げられます。加えて、米国は「ガソホール」というアルコールを含んだガソリンが主流になってきており、通常のPFTでは「ガソホール」が通常のガソリンよりもさらに揮発しやすいという性質をもっています。ですから、現在では米国で生産されているPFTのほとんどが、<エバール>使用のPFTなんですよ。 |
Q | なるほど。この傾向は広がりそうですか? |
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A | ええ。米国に続いて、欧州では'98年から、そして日本では'99年から<エバール>使用のPFT生産が始まっています。これから<エバール>使用のPFTは、伸びていくと思いますよ。 |