茶谷産業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:茶谷 康弘 以下 茶谷産業)と株式会社クラレ(本社:東京都千代田区、社長:和久井 康明 以下 クラレ)は、茶谷産業が世界に先駆けて発明した超高輝度の無機EL(エレクトロルミネッセンス)青色及び白色発光材料の開発を加速するため共同開発を開始しました。
茶谷産業が発明した無機EL発光材料は、従来のEL材料の性能を遥かに超える超高輝度・長寿命を達成しています。
本発明の超高輝度・長寿命の青色の無機ELは、コーティング法により面光源として使用できるため、超薄型、大面積が生かせる壁掛けテレビなどのディスプレイへの利用や、現在環境的に問題となる水銀が使われている照明用途への応用などが期待できます。
両社は、まず薄型TVに不可欠な液晶ディスプレイ用バックライトの白色光源の製品化に向けて共同開発を行い、2006年秋のサンプル出荷を目指します。将来的には、各種照明光源・フルカラーディスプレイ用発光材料の開発も視野に入れております。
なお、本発明の超高輝度無機EL発光光源は2005年10月19日~21日にパシフィコ横浜で開催される「FPD International 2005」で一般公開します。
電気を流すと光る性質のあるEL材料は、自発光型で明るく、省電力、応答速度が速い、環境に優しいなどの特性から、液晶、PDPなどに継ぐ次世代ディスプレイ材料や蛍光管に代わる照明材料として注目されており、一部携帯電話などで製品化も始まっています。EL材料を使用したディスプレイなどの本格的な立上げは2008年頃と言われており、現在、世界的規模で多数の企業が開発競争に鎬を削っています。
ELには無機系と有機系があり、無機EL材料は、有機ELに先立って開発されていたにも拘わらず、交流電源の高電圧(100~200V)を要すること、高輝度・長寿命の青色材料の適当な材料がなかなか見つからなかったことなどから、近年、開発の中心は多彩な化合物設計が可能な有機ELに移っています。
しかしながら、有機化合物からなる有機EL材料は、空気による酸化劣化や湿気による劣化を受け易いのみならず、輝度を上げようと駆動電流を上げると寿命が短くなると言う所謂、輝度と寿命のトレードオフの問題が最大の開発ネックになっています。このため、携帯電話用ディスプレイなどの小画面製品に応用され始めているものの、いまだにテレビなどの中大画面ディスプレイの製品化には至っていません。有機ELの場合も、白色化やフルカラー化に必要な高輝度で長寿命の青色発光材料の開発が特に遅れています。
一方、ELに類似した発光ダイオード(LED)は、青色が日亜化学工業株式会社などの技術により輝度や寿命は実用化レベルに達しており、信号や電光掲示板など応用範囲は広がっています。しかしながら、ELが面光源であるのに対して、LEDは点光源ゆえに自ずと点光源で達成できる用途に限られており、大型のフラットパネルディスプレイなどの用途には制約があります。
こうした背景にあって、EL材料が液晶やPDPに代わってディスプレイ材料として本格的に実用化されるためには、高輝度かつ長寿命な青色発光材料が開発できるかどうかにかかっています。茶谷産業の技術者は数年来これらの課題と取り組み、この度、技術的に最も困難視されていた超高輝度かつ長寿命の青色及び白色EL材料を世界に先駆けて発明しました。具体的には低電圧(3-10V)・直流駆動で超高輝度(600,000cd/m², 5.5V)、長寿命(文末表参照)を両立させております。
輝度(cd/m²) | 寿命(時間) | |
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超高輝度無機青色EL材料 | 350,000 | 25,000 時間以上輝度変化なし |
無機青色EL材料(従来品) | 100 | 30,000 時間(輝度半減時間) |
有機青色EL材料(従来品) | 1,000 | 10,000 時間(輝度半減時間) |
発光エリア | 発光輝度 | 発光効率 | 寿命 | 対環境 | |
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超高輝度無機EL | 面 | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
白熱灯 | 点 | × | × | × | ◎ |
蛍光灯 | 面 | ○ | ◎ | ○ | × |
発光ダイオード | 点 | ◎ | ○ | ○~◎ | ○ |
無機EL | 面 | × | ○ | ○ | ○ |
有機EL | 面 | ○ | ○ | × | ○ |
社長 | 茶谷 康弘 |
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本社 | 大阪市中央区安土町1-8-15 TEL:06-6271-5321(代表) |
資本金 | 3億1000万円(2005年3月末) |
業務内容 | 自動車、タイヤ、産業用設備・機器、物流・荷役機械、電気・電子機器、工具・鉄製品、木材、建設資材、生活関連用品、食品等の輸出入並びに国内取引合成繊維・合成樹脂・化学品などの製造販売 |
社長 | 和久井 康明 |
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本社 | 東京都千代田区大手町1-1-3 TEL:03-6701-1000(代表) |
資本金 | 890億円(2005年3月末) |
業務内容 | 合成繊維・合成樹脂・化学品などの製造販売 |