ポバールフィルム
研究開発部
2017年入社
工学研究科
応用化学専攻修了
液晶ディスプレイには偏光板と呼ばれる部材が用いられています。私は入社以来、現在の部門でこの偏光板の材料である「ポバールフィルム」の開発に従事しています。現在、取り組んでいるテーマは、ポバールフィルムへの新たな機能の付与で、液晶ディスプレイ以外の用途での活用も視野に入れて研究に励んでいます。日々の研究において、ねらい通りの実験結果が得られることもあれば、まったく予期していなかった機能が発現することもあります。構造の観点から発生原因のメカニズムを解明し、知見として蓄積していくことも、さらなる機能向上をめざすうえで欠かせないプロセスのひとつとなります。
入社して初めて担当したテーマは、偏光板の性能が低下する要因の解明でした。検討においては、要因について仮説を立て、それを検証するための試験系を作り、試験結果を考察して次の仮説に役立てる、といったサイクルを回すことが欠かせません。学生時代の実験や研究は、どちらかというと「まず実践」が主体だったので、最初は試験系を作りサイクルを回すことに苦手意識がありました。しかし学生の頃とは違い、すべての実験に期限があるため、この苦手を克服することは絶対条件でした。先輩や上司にフォローしてもらいながら、事前に立てた仮説が正しかったことを初めて証明できたときには研究者として、社会人として、大きな一歩を踏み出せた心地がしました。
現在取り組んでいるテーマとも関連することなのですが、新たな機能が付与されたポバールフィルムを開発して、これまでとはまったく違った用途への展開をめざしたいと考えています。未知の機能の付与に成功して、かつ、それが思いもよらなかった領域に活用できることがわかれば、新事業のタネにもなり得ると思います。実現には相当な困難を要することは間違いないのですが、決して実現不可能とは思いません。実際にクラレには既存製品に新機能を付与し、別用途への活用に成功した先輩がたくさんおられるので、これからも粘り強く理想を追求し続けます。
Off
週末の休みは読書をしたり、お菓子を作ったり、気になる映画があるときは映画館に出かけたり、のんびりと過ごしています。同期同士で仲が良く、飲み会に行ったり県外に遊びに行ったりすることもありますね。ちなみに、この写真は同じ寮に住んでいる同期と広島の宮島に行ったときのものです。
Culture
就職活動のとき、説明会でお会いした若手の先輩一人ひとりが、各自のテーマに熱心に取り組んでおり、若いうちから仕事に裁量を持たせてもらえそうだと感じていました。入社して働き始めてもその点にギャップはありません。それに加えて、チームで取り組むテーマの場合は、チーム内で助け合い、お互いの検討結果を尊重する社風だとも感じます。
各社員の所属・内容は取材当時のものです。