スナック菓子の袋には品質を長持ちさせるために窒素が充てんされています。
食品のおいしさを守るのに欠かせない窒素。窒素発生装置<クラセップ>は、活性炭を利用してどのように発生させるのでしょうか?
Q | スナック菓子のサクサクの食感は当たり前と思っていたんですが、窒素があるおかげなんですね。 |
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A |
ええ。窒素で満たされていなければスナック菓子はすぐに湿気るし、食品によっては変色を起こすこともあります。食品が腐るのは空気中の酸素に触れるためです。空気中には酸素が20.9%と窒素が78.1%の割合で存在しています。食品を安全に保存したり輸送したりするには、酸素をなくした窒素だけの状態が理想なのです。 |
Q | 窒素発生装置<クラセップ>は、どうやって窒素を発生させるんですか? |
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A |
この装置は空気を取り込んで酸素と窒素にふるい分けていくことができます。その篩の役割をするのが活性炭。だから名前も「分子篩炭」と呼んでいます。では、どのようにして発生させるのかを簡単に説明しましょう。下のイラストを見てください。装置の中に分子篩炭がぎっしりと詰まっていますね。ここに下から空気を送り込みます。空気は分子篩炭の間を抜けながら上がっていきます。このとき分子篩炭の吸着力が働いて、表面にある微細な無数の穴(細孔)に酸素の分子を閉じ込め、窒素だけを送り出していくのです。 |
Q | どうして酸素の分子だけを閉じ込めることができるんですか? |
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A |
分子篩炭は酸素と窒素の分子の大きさが微妙に違うことを利用して、穴の大きさをその中間くらいに仕上げています。つまり、穴よりも小さい酸素の分子だけを吸着し、穴より大きい窒素の分子を吸着しないという仕組みです。通常の活性炭も微細な穴を持っていますが、分子篩炭はこれよりはるかに小さな穴を持っているのが特長です。このような細かい穴を均一に作り出せるのはクラレの強みと言えます。 |
Q | <クラセップ>はどんなところで活躍していますか? |
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A |
私たちになじみの深い食品に<クラセップ>で発生させた窒素が使われています。お菓子の個包装をはじめ、未開封のびんビールにもビールとともに窒素が入っています。ほかにも自動車部品を作るときやクラレグループ製品の生産工程でも、酸素に触れるのを防ぐために窒素を使っているところがあります。 |
Q | 今後の展望は? |
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A |
分子篩炭は窒素以外にもさまざまなガスを取り出せる可能性があります。例えば生ゴミから発生するメタンはそのまま放っておくと地球温暖化につながりますが、分離して回収すれば燃料に生まれ変わります。水素自動車や燃料電池が広がる将来には、水素やほかのエネルギーが必要になるかもしれません。エネルギーのリサイクルとして、またエコロジーの一環として当事業を成長させていきたいですね。 |