製品のはてな?

<マジックテープ>(減音)

どうやって<マジックテープ>のバリバリ音を小さくしたの?

<マジックテープ>をはがすときに起きるバリバリ音。この音をやわらげる減音<マジックテープ>が誕生しました。どうやって音を小さくしたの?どれくらい静かなの?

お客さまの声から生まれた減音<マジックテープ>

Q <マジックテープ>にはバリバリ音が付き物と思っていたんですが、音の大きさって気になるものなんですか?
A
減音<マジックテープ>を使った肌着

例えば病室で<マジックテープ>を使った介護用肌着などを着脱するときに、隣で寝ている人に迷惑を掛けないようにしたい、など音に対するニーズはありますね。この減音<マジックテープ>も、一昨年に開催された「苦情・クレーム博覧会」での主婦の方の声を受けて開発しました。

音の伝わる仕組みを分析

Q どうやって音を小さくしたんですか?
A
フックがループからはずれるときに振動が発生し、音波となって聞こえる

まず音が伝わる仕組みを説明しましょう。<マジックテープ>は「係合」と言ってフックがループに引っ掛かってくっつき、はがすときはフックが変形しながらループから離れていきます。このはがすときにフックが振動して<マジックテープ>の生地部分(基布)に伝わり、それが大きくなったり反射したりして空気を振動させ、音波となっていることがわかったのです。

Q へー。バリバリ音って、そんなち密な原理で起きていたんですね。
A

ええ。さらに、フックは太く丈夫な繊維でこの太さに比例して音が大きくなることもわかりました。そこで、振動を小さくするために見いだしたのが次の3つの方法です。
1つ目は、発生した音を反射させずに穴から逃がすという発想。つまり、<マジックテープ>の生地部分をメッシュ状にするというものです。2つ目はフックの繊維を細くするというもの。そして3つ目が、生地部分の裏に樹脂層を貼り合わせて振動を吸収するという方法でした。

比べて聞いてみたくなる?!

Q どれくらい効果があるんですか?
A
ゴルフ手袋で試した減音<マジックテープ>。通常の<マジックテープ>より音が小さくなった

ゴルフ手袋に使用した場合、通常の<マジックテープ>は90dB。騒がしい工場の中と同じ数値と言われています。これに対して減音<マジックテープ>は、ソフトタイプなら78dB、メッシュタイプで80dBと10dBほど小さくなります。

※dB(デシベル):音の大きさを表す単位

Q どんな用途に使われるんですか?
A

とりつける生地や用途にあわせてメッシュタイプとソフトタイプがあります。メッシュタイプは生地部分をメッシュ状にしたもので、肌着やコルセット、手袋など通気性のある薄手の生地に向けたものです。一方、フックの繊維を細くしたソフトタイプは、さらに生地の裏に吸音性樹脂を独自製法で一体化させているため、カバンやビニール袋など通気性の少ない生地にでも減音効果が発揮されます。

減音を超えた高レベルに挑戦

Q 今後の展開は?
A

減音を超えた無音・消音の要望もすでに出てきており、振動を起こさずにはがすことができる面ファスナーの開発に取り組んでいく予定です。<マジックテープ>はどれも同じと思われがちですが、実際に使ってもらうとその機能性や特長の違いを知ってもらうことができます。今後もリピーターに喜ばれる商品づくりを目指していきます。