Q | ポバールって、一言でいうとどんな樹脂なんですか? |
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A |
ポバールは白色の粉末で、合成樹脂としては珍しく水に溶けるという性質をもっています。その特徴を生かして幅広い分野で利用されています。 |
Q | なぜ水に溶けるんですか? |
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A |
なかなか難しい質問ですね。ポバールは、チューインガムの原料にもなっているポリ酢酸ビニル樹脂の分子内にある、水になじまない酢酸基(CH3COO)を、けん化という反応によって水とよく馴染む水酸基(OH)に変えることで作られます。水に溶ける大きな要因として、このOHを分子内に多くもっていることが挙げられます。でも、逆にわざとCH3COOを残した銘柄もあるんですよ。 |
Q | なるほど。水溶性はOHに起因するようですが、なぜCH3COOを残した銘柄があるんですか。 |
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A |
CH3COOの残し方を変えることによって、色々な特性が付与されるんです。その1つに界面活性という水と油を混合できる特性があります。用途に応じて、OHとCH3COO比率(けん化度)を変えるとともに、分子の長さ(重合度)を変えることによって色々な種類のポバールができるんですよ。 |
Q | 水溶性のほかにどんな特性があるんですか? |
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A | 乾燥後にはOHの結晶(強いつながり)により、強い皮膜を形成します。また、天然物、無機物への強い接着力や耐油・耐薬品性など。先ほど述べた界面活性も優れた特性の1つです。 |
Q | では、具体的にどんな用途に使われているのですか? |
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A | (1)ビニロン繊維の原料、(2)繊維加工のり剤、(3)紙加工剤、(4)フィルム原料、(5)接着剤、(6)重合安定剤、(7)ブチラール樹脂の原料などが主な用途です。 |
Q | 現在はどういった分野に力を入れていますか? |
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A | 特殊ポバールですね。これは、クラレの高分子合成技術を生かし、従来のポバールに変性加工などをすることで色々な性質を付与した、特徴のあるポバールのことです。例えば酢酸ビニル系の特殊ポリマーとして、従来のポバールに比べてより耐水性・生分解性・バリアー性などを有した<エクセバール>も展開中です。今後も様々なニーズに対応できる、特徴あるポバールの開拓をめざしていきたいと考えています。 |