製品のはてな?

ポバールフィルム(偏光板)

「ポバールフィルム」は、どうして偏光板に欠かせないの?

光の波の方向を曲げる液晶

Q 偏光板は、液晶表示の中でどのような働きをしているのですか?
A

液晶表示の主要構造は、おおまかに言うと、液晶という物質を偏光板で挟んだ形となっています。その中で偏光板は光を通したり、遮断したりする働きをしているのです。

Q 具体的に言うと?
A
「偏光板」イメージ

自然の光には、タテ方向の波とヨコ方向の波があり、偏光板はそのうち一方向の光の波を遮り、もう一方向の光の波だけを通すという性質をもっています。
一方、液晶は電圧をかけると向きが変わる性質を示します。
液晶パネルは右の図のように2枚の偏光板で液晶を挟む形で構成されています。
例えばNWモード(電圧をかけない状態で明表示)のときは、液晶は電圧をかけた状態では光の波をそのままの方向で通すので暗く(右図上段)、電圧をかけない状態では光の波の角度を曲げて通すので明るく表示されます(右図下段)。
これが液晶表示の仕組みです。

条件を満たすポバールフィルム

Q では、ポバールフィルムはどうして偏光板に不可欠なのですか?
A

偏光板の主材料となるフィルムは光の偏光度と透過率が高くなければなりません。そのためには、
(1)フィルム本来の透明度が高い
(2)延伸時の配向性が良い
(3)ヨウ素(一方向の光を吸収し、偏光機能を起こさせる性質をもつ)を吸着しやすい
といった条件が必要です。ポバールフィルムは、これらの条件を全て満たしているわけです。

Q 「延伸時の配向性が良い」「ヨウ素を吸着しやすい」というと…?
A

偏光板は、フィルムを延伸して分子の配向軸を揃える、ヨウ素を吸着させるなどの工程を経て作られます。ポバールフィルムの原料であるポバールの分子配列は、延伸すると配向軸が良く揃う、つまり分子の列がきちんと並び、それに追従してヨウ素もきちんと並ぶことで、一方向の光の波だけを通すブラインドのような役目を正確に果たすのです。
また、ポバールはヨウ素と非常にくっつきやすい分子構造をしています。

Q 今後、求められることは何ですか?
A

偏光板は、パソコンLCDモニターの拡大などにより需要が増加しています。それに対応するため、フィルム設備を増設し、今後とも市場のニーズにあった付加価値の高いフィルム製品を生み出す事業をめざします。