Q | 事故でフロントガラスにひびが入っている自動車を見たことがあります。PVBは自動車のフロントガラスに使われているんですよね? |
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A |
ええ。PVBは防弾ガラスにも使われることで知られる強い中間膜なんです。ガラスとガラスの間にフィルム化したPVBを挟むことによって、強い衝撃を受けても高い接着性を発揮して、ガラスが粉々に飛び散るのを防いでいるのです。 |
Q | 建物の窓ガラスにもPVBが使われているのはどうしてですか? |
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A |
欧州では建築用途の需要が伸びていて、ドイツにあるベルリン議事堂のガラスドームにはクラレグループのPVBフィルムが使われています。窓ガラスにPVB を使うと大地震などの衝撃で窓が粉々に割れ落ちることが防げ、また防犯効果も期待できます。また、米国ではハリケーン対策として家庭向けガラスの需要が高まっています。これはすき間から入り込んだ風が建物を吹き上げて被害を大きくするのを防ぐためです。日本でも建築の規制が変わっていくのにつれて需要が増えていくでしょう。 |
Q | どうしてPVBは強いんですか? |
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A |
PVA(ポバール)を原料にしているPVBは、PVAと同じく水となじみやすい水酸基(OH)をたくさん持っています。これらの水酸基が強く結びつくことによって高い接着性を発揮するのです。PVAが水に溶ける特長を持っているのに対して、PVBは熱で溶ける強い樹脂です。 |
Q | 接着性が高いとどんなメリットがあるんですか? |
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A | 例えばホワイトボードのペン。このようなインクにもPVBが使われています。文字を書くためには顔料であるインクを細かく分散させるとともに、ボードにインクを接着させなければいけません。PVBは原料を均一に分散するとともに接着性に優れているため、工業向けの各種バインダーとしても活躍しています。船舶をサビから守るためのコーティング材、セラミック製の電子部品を成形するための接着剤、道路標識の反射板の接着材などがその代表例ですね。 |
Q | 今後の展望は? |
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A | PVBはまだまだ開発の可能性を秘めた樹脂です。自動車のフロントガラス用途では、安全だけでなく遮熱、遮音といった快適さを追求する中間材としての役割も担っていきます。PVAメーカーとして培った技術を発揮してPVBの付加価値を高めていきたいです。 |