<ベクトラン>は、1990年に(株)クラレが世界で初めて工業生産を開始した液晶ポリマー繊維です。分子と分子の結びつきが非常に強い液晶ポリマーを原料としているため、引っ張っても切れにくいこと(高強力)が最大の特徴です。さらに、「水を吸いにくい」(低吸湿性)、「伸びにくい」(寸法安定性)、「摩耗に強い」(耐磨耗性)などの特長を備え、世界各地で多様な産業の発展に寄与しています。ロープ、各種テンションメンバー、安全防護、航空宇宙、漁網、スポーツ用品、複合材料などに使われています。NASAの火星探査車の着陸用エアバックや、日本の「成層圏プラットホーム構想」に使われる飛行船にも採用されました。
「スーパー繊維」と言われるほど強く、引っ張ってもなかなか切れません。
水分をほとんど吸収せず、湿潤下での強度低下や寸法変化がありません。
寸法変化がほとんどないためワイヤー代替等に適しています。熱収縮もごくわずかです。
繊維間摩耗、屈曲摩耗ともにPPTA(=ポリパラフェニレンテレフタルアミド)より優れています。
切れにくく、防護用品の材料として適しています。
乾熱雰囲気下でPPTAより熱老化性に優れています。湿熱雰囲気下では差はさらに顕著になります。
多くの化学薬品に対して高い抵抗性を示します。特に酸性に対しての抵抗性が顕著です。
振動を素早く吸収します。
衝撃エネルギーを吸収し、圧縮応力、曲げ応力に対して破壊しにくいコンポジットができます。
<ベクトラン>は吸湿しないため、電気絶縁性に優れています。