環境負荷低減の取り組み
化学物質の排出管理
国内クラレグループでは化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)に従って対象となる化学物質の年間排出量を調査・把握し、国に報告しています。また、クラレグループではPRTR法の対象物質以外に日本化学工業協会(日化協)が定める化学物質についても同様に排出量を把握してクラレウェブサイト等で公表しています。この他に残留性有機汚染物質(POPs)、揮発性有機化合物(VOC)、有害大気汚染物質(HAP)、粒子状物質(PM)の化学物質について、クラレでは下表のとおり対応しています。
環境データ
区分 | 物質名 | 対応 |
---|---|---|
POPs | ポリ塩化ビフェニル(PCB) | PCB特措法(無害化処理期限)に従って、保管・管理、報告、無害化処理中 |
ダイオキシン類 | PRTR物質に含まれるため、PRTR物質として排出量を測定、報告(環境データ参照) | |
上記以外 | 製造・使用していない | |
VOC HAP |
PRTR物質に含まれるため、PRTR物質として排出量を測定、報告 (マテリアルフローで総排出量を報告、事業所ごとの排出量は環境データ参照) |
|
PM | ばいじん排出量をマテリアルフローで報告 | |
PRTR | 法対象物質および日化協の指定物質について排出量を測定、報告 (マテリアルフローで総排出量を報告、事業所ごとの排出量は環境データ参照) |
国内クラレグループでは化学物質の排出削減のため2008年頃までに大規模な設備投資を行い、1999年に比べて約80%の排出量削減を実現しました。それ以降は、事業規模が拡大しても事業所外への排出量を増加させない、という考えのもと、日化協PRTR物質※排出量の上限を定め管理を行っています。この目標を達成するため、設備の新増設に際しては、化学物質の排出量を増加させないための対策を投資内容に含めて検討・実施しています。2024年は一部の事業所で定期修理工事の年にあたり生産量が減少したため、2023年の770トンから733トンに減少し、目標の967トン以下を維持しました。今後も引き続き、排出を増加させないよう対策を進めていきます。
海外クラレグループについては、各生産拠点が立地する国・地域の厳しい化学物質排出規制の遵守と定量管理を継続することを方針としています。2017年までは事業編入および製造拠点の新増設などにより排出量の総量は増加傾向にありましたが、一部の拠点において排ガス処理装置の増設、設備の運転管理の改善対策を実施し、2018年からは減少しています。2024年は一部の拠点で生産量が増加したこともあり、排出量は2023年の331トンから362トンに増加しました。
※PRTR法対象物質および日化協指定物質
【ご注意】会計年度変更に伴い、本レポートにおける環境関連データはグラフも含め次の通りとなっています。
- ・2013年度以前:4月-3月の12ヶ月実績
- ・2014年度 :4月-12月の9ヶ月実績+2014年1月-3月実績(または推定値)(2013年度と重複しています)
- ・2015年度以降:1月-12月の12ヶ月実績
廃棄物の有効利用
国内クラレグループの2024年の廃棄物発生量は、対前年比で生産量が増加したことにより、2023年の62.8千トンから増加し、66.3千トンとなりましたが、各事業所、関係会社工場で製品収率の向上、廃棄物の分別、回収による再原料化などに取り組み、1.5千トンの廃棄物発生量の削減対策を実施しました。発生した廃棄物は再資源化やエネルギー回収などの有効利用に努めた結果、有効利用率は96.5%となりました。近年では廃棄物の輸出等の規制が厳しくなり、国内では廃棄物処理の委託先の確保が難しい状況が続いており、今後も引き続き廃棄物の発生削減対策に努めます。
海外クラレグループの廃棄物発生量は、2014年にビニルアセテート事業、2018年に活性炭事業の買収により増加しましたが、それ以降はほぼ一定で推移しています。2023年は一部生産拠点において一時的な廃棄物の発生があり、91.8千トンに増加しましたが、2024年は米国の複数拠点で設備の計画停止があったこともあり、60.8千トンと大きく減少しました。また、海外関係会社においても製品収率の向上や工場内で発生した資材等の廃棄物を回収し、有効利用する取り組みを実施しています。今後も引き続き、各生産拠点では自国の法的要求事項を遵守するとともに、廃棄物の削減対策に取り組んでいきます。
サステナビリティ中期計画 Planet の環境負荷低減目標として設定した、クラレグループの廃棄物発生量の売上高原単位の2024年実績は、2019年比38.5%の低減(改善)となり、目標である「2026年度に5%以上の低減(改善)」を大きく上回りました。今後も引き続き廃棄物削減対策などの活動を通じてさらなる原単位の改善に取り組みます。
<プラスチック資源循環促進法に基づく「多量排出事業者」>
(多量排出事業者: プラスチック使用製品産業廃棄物等 250トン/年以上)
2024年のクラレグループにおけるプラスチック資源循環促進法の「多量排出事業者」に該当する事業者は下表のとおりです。クラレグループでは、発生したプラスチック使用製品産業廃棄物等のほとんどを再資源化や熱回収により有効利用しています。また、一部の関係会社で発生している塩ビを含む廃棄物等は、再資源化やエネルギー回収が困難なため最終処分(埋立処分)していますが、可能な限り有効利用できる用途への切り替えを進めています。今後も工程収率向上などに取り組み、発生量の削減対策を実施するとともに、発生した廃棄物については有効利用を促進していきます。
会社 | 排出量 (トン) |
有効利用量 (トン) |
最終処分量 (トン) |
有効利用率 | 最終処分率 |
---|---|---|---|---|---|
㈱クラレ | 20,479 | 20,436 | 32 | 99.79% | 0.16% |
クラレ西条㈱ | 320.3 | 319.8 | 0.5 | 99.86% | 0.14% |
【ご注意】会計年度変更に伴い、本レポートにおける環境関連データはグラフも含め次の通りとなっています。
- ・2013年度以前:4月-3月の12ヶ月実績
- ・2014年度 :4月-12月の9ヶ月実績+2014年1月-3月実績(または推定値)(2013年度と重複しています)
- ・2015年度以降:1月-12月の12ヶ月実績
水資源の有効利用
クラレグループでは海外関係会社も含め、現時点では事業活動が地域の水資源に大きな影響を及ぼす地域での生産活動は行っていませんが、水資源は今後も大切な資源であると認識し事業活動を進めています。
国内クラレグループの2024年の水使用量(海水除く)は2023年から増加し、64.0百万m3でした。一部の事業所で動力発電用タービンの稼働日数が前年より多く、冷却水の使用量が増加しました。国内の各事業所は比較的水資源に恵まれた地域に立地しているものの、地球温暖化に伴う気候変動の影響による渇水リスクなど長期的な水供給の見通しを考慮しながら事業活動を進めていく必要があると考えており、冷却水のボイラー用水への再利用等の“水のリユース”なども継続して行っています。今後も引き続き節水と水資源の有効利用に努めていきます。
海外クラレグループでは2014年以降ビニルアセテート事業、活性炭事業などのM&Aによる事業編入等により水使用量は増加しましたが、それ以降はほぼ一定で推移しています。海外関係会社各拠点では、収率向上や回収水の再利用など水使用量の削減対策を継続して実施しています。2024年は米国の複数拠点で設備の計画停止があり冷却水の使用量が減少したため、2023年から減少し2024年の水使用量は18.8百万m3となりました。
サステナビリティ中期計画 Planet の環境負荷低減目標として設定した、海外クラレグループの水使用量(海水除く)の売上高原単位の2024年実績は、2019年比23.9%の低減(改善)となり、目標である「2026年度に5%以上の低減(改善)」を大きく上回りました。今後も引き続き水使用量削減対策などの活動を通じてさらなる原単位の改善に取り組みます。
【ご注意】会計年度変更に伴い、本レポートにおける環境関連データはグラフも含め次の通りとなっています。
- ・2013年度以前:4月-3月の12ヶ月実績
- ・2014年度 :4月-12月の9ヶ月実績+2014年1月-3月実績(または推定値)(2013年度と重複しています)
- ・2015年度以降:1月-12月の12ヶ月実績
生物多様性の保全
クラレグループでは地球温暖化対策、化学物質の排出管理、廃棄物の有効利用、水資源の有効利用を継続して行うことが生物多様性の保全につながると考えています。また「生物多様性の保全に係る活動方針」を制定し、生物多様性保全に貢献する活動、および、技術開発・製品販売を進めています。環境保全活動例として以下のとおりに自治体他と連携した森林保全活動や清掃活動、絶滅危惧種の保護などに取り組んでいます。
環境保全活動例
倉敷事業所 |
|
---|---|
岡山事業所 |
|
西条事業所 |
|
新潟事業所 |
|
鹿島事業所 |
|
鶴海事業所 |
|
クラレアメリカ |
|
モノソル |
|
プランティック |
|