社長メッセージ

クラレグループでは5カ年の中期経営計画「PASSION 2026」を推進中です。3年目となる2024年度を振り返ると、世界経済は地域によっては力強さを欠いたものの全体としては緩やかに成長しました。そうした環境下、当社グループでは多くの事業で販売数量を伸ばすことができ、売上高は4年連続過去最高を更新、営業利益も過去2番目の高水準となりました。なお、「PASSION 2026」では重要施策として事業ポートフォリオの高度化を進めています。その一環として、当期において一部の事業に係る固定資産の減損損失を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を下回る結果となりました。

「PASSION 2026」の前半3年間は、外部環境が大きく変化する中、グローバルな供給体制の強化、高付加価値品へのシフト、顧客価値の最大化などの事業戦略を着実に実行し、また柔軟かつ機動的に対応したことで、3年目の売上・利益計画を達成することができました。最終年度の2026年に向けて、事業ポートフォリオのさらなる高度化を進めるとともに、3つの挑戦、 ①機会としてのサステナビリティ、 ②ネットワーキングから始めるイノベーション、③人と組織のトランスフォーメーション、を引き続き推進してまいります。

2025年度においては、エバール事業、活性炭事業、歯科材料事業等ではその強みを生かして拡大する需要に応えるととともに、イソプレン事業および繊維事業の収益改善を図ってまいります。これらを踏まえ、2025年度の計画は、売上高8,600億円、営業利益900億円、経常利益850億円、親会社株主に帰属する当期純利益450億円としており、増収増益を目指してまいります。

また、2026年度は「PASSION 2026」で掲げた売上高、営業利益の目標は超過する見通しである一方、ROE等は目標をやや下回る見込みであり、引き続き収益力の強化と資本効率の向上を着実に進めてまいります。 当社は株主の皆様に対する利益配分を経営の重要課題と位置付けており、2024年度は1株当たり年間配当金54円 (中間27円、期末 27円)と3年連続増配を実施、また自己株式については200億円の取得と3,000万株の消却を実施しました。

なお、株主還元のさらなる拡充を図るため、2025年度から株主還元方針を見直し、「親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向50%以上」、「1株当たり配当金の維持・増額」、「自社株買いは継続的実施を目指す」ことを新たな基本方針とすることといたしました。2025年度の配当金につきましては、1株当たり年間配当金54円(中間27円、期末27円)を予定しております。

引き続き、クラレグループの企業価値向上に向けて、事業活動におけるキャッシュ創出力の強化に努めていくとともに、成長に向けた戦略的な資源投入と株主還元の充実を図ってまいります。

株主の皆様には、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 川原 仁