当社は、高いガスバリア性と、ゴムのような柔軟性・弾力性、優れた加工性を併せ持つ新しいバリア樹脂(名称未定)の開発に成功し、生産設備の新設に着手しました。
当社は1972年、自社開発のEVOH樹脂<エバール>を事業化し、プラスチックとしては最高レベルのガスバリア性(汎用ポリエチレンの約1万倍)を生かして、食品の保存性に優れた包装材料として高い信頼を得てきました。また食品包装以外にも、自動車ガソリンタンクや床暖房用パイプなどの工業材料としての活用が進み、世界的に需要が急拡大しています。
しかし、<エバール>はプラスチックとしては比較的硬い材料であり、柔軟性とガスバリア性の両方が要求される用途分野への参入は困難でした。
一方、ゴムのような柔軟性・弾力性を持ち、かつ高いガスバリア性を備えたポリマーはかつてなく、工業分野でのニーズが高まっていました。
今回開発した新バリア樹脂は、<エバール>をベースとしながら、独自開発した反応技術により“硬さ”の原因である結晶特性をコントロールすることで、卓越したガスバリア性と柔軟性・弾力性を高度に両立させた新素材です。
これにより、以下の新展開が可能になりました。
当社は<エバール>事業化以来、ガスバリア性樹脂のリーディングカンパニーとして市場を開拓してきました。現在<エバール>は世界3極での生産体制を敷き、その市場は年率2割近い拡大を示しています。現在欧州での設備増強を進めており、04年秋の完工をもって当社グループの生産能力は年間45千トン/年から57千トン/年に強化されます。
今般の新バリア樹脂の事業化により、当社のガスバリア材事業は第2の柱を得て、その成長に拍車が掛かるものと期待しています。さらに当社は、従来とは異なるアプローチから新たな高機能ガスバリア材の開発を進めており、この分野で世界をリードする企業グループを目指してまいります。
場所 | 当社 岡山事業所(岡山市 事業所長:上席執行役員 和食 征二) |
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設備能力 | 年産5,000トン |
稼働開始 | 2004年9月 |
設備投資額 | 約10億円 |