当社は、透明性、耐候性等に優れたアクリル系熱可塑性エラストマーについて、独自開発の触媒技術による世界初の製法開発に成功し、その量産技術を確立しました。
このたび、本格的な工業化に向けた技術確認・市場開拓のためパイロットプラントを鹿島事業所に建設し、本格的なマーケティングを開始します。
当開発品は、メタアクリル樹脂(PMMA)固有の特長である透明性・耐候性を備え、これにゴム弾性・柔軟性を付与し、かつ製品の汚染原因となる低分子量成分を全く含まない、熱可塑性エラストマーです。
これらの特長を生かして、以下のような広範囲な用途展開が期待されます。
その第一弾として、粘着剤用ベースポリマーに適した分子設計を完了し、当該分野向け当開発品のマーケティングを本格開始いたします。
粘着剤の市場規模は、日本国内で約19万トンあり、需要は堅調に推移しています。
製造時・使用時の環境対応や、エレクトロニクス分野での高性能要求(相手材料への汚染低減・耐熱性など)に、当開発品の特性は合致しています。
などの特長があります。
アクリル系の熱可塑性エラストマーの製造については、世界中で研究開発が進められてきましたが、従来の製法は「極低温(-80℃)が必要である」「重合時間が長時間」など、工業化に向けて大きな障壁を持っていました。
当社は、独自触媒系の開発により工業化可能な温和な温度領域でかつ短い重合時間で、精密な重合制御を可能にする技術が実現し、世界で初めて商業生産が可能となりました。
当社は現在、スチレン系やウレタン系を中心として熱可塑性エラストマー事業を展開していますが、今回新たにアクリル系エラストマーを加え、同事業の大きな柱として育成していく方針です。