化学メーカーの(株)クラレ(本社:大阪市、社長:和久井康明)は、このほど大孔径ろ過膜をカートリッジに使った新世代のプール循環ろ過システム<メガフロー>Fシリーズを開発し、9月初旬より小・中・高校・大学のプール、公営プール、民間施設のプール用などに本格発売します。従来家庭用浄水器などに使われていた精密ろ過用の中空糸膜孔径(0.1ミクロン)のプールへの転用では、過剰品質でコストも高くなるという難点がありました。そこで、「より大流量」をコンセプトに、約20倍にあたる2.5ミクロンという大孔径の中空糸ろ過膜を独自に開発したものです。この<メガフロー>Fシリーズはコンパクトで全自動のため操作が簡単、ランニングコストも低く透明度が非常に高いプールの運営ができる画期的なシステムです。
現在、プールに採用されている循環ろ過システムには、砂や珪藻土といったろ材が使用されています。これらは、装置が大きく操作が面倒な上、ろ材の交換時には多量の使用済みの砂や珪藻土の廃棄処理が必要でした。また、プール水の透明度がなかなか上がらず民間施設のプールなどでは凝集剤を投与する必要がありました。
この砂や珪藻土を使用したシステムは、循環ろ過システムが世に出て以来30年もの間採用されており、当社はこの領域に大孔径ろ過膜という新技術を導入することにより、新世代の循環ろ過システムを広めようとするものです。
<メガフロー>Fシリーズ運転前
<メガフロー>Fシリーズ24時間運転後
この<メガフロー>Fシリーズには、孔径が2.5ミクロンの中空糸膜が使用されており、従来の砂ろ過の隙間の5~10ミクロンよりも細かいため、今まで取れなかったプールの濁り成分を凝集剤などの薬剤を投入することなく簡単に除去することができます。また、ろ材の取り替えは、砂ろ過などと違って直径9cm長さ50cmのカートリッジの交換だけで済み、使用済みのカートリッジも焼却するだけで簡単に処理できます。運転は全自動で管理されているため、ろ過されたプール水の水質も均一になります。
ろ材が目詰まりすると「逆洗」と呼ばれる操作が必要ですが、従来のろ過器ではプールの水を大量に逆流させて不純物を取り除くために、減った水の補給が必要であり水資源の浪費でした。また、プールの不純物はろ過器内に付着させて逆洗時まで貯めておくため、これらの不純物の消毒に必要以上の消毒剤を投与せねばならず肌の敏感な人などにはネックとなっていました。<メガフロー>Fシリーズではこの逆洗操作を空気で行うため、水資源の節減や上下水道代の削減になります。また、電気代も削減できます。
当社では、従来の砂や珪藻土といったろ材を使用したシステムとはまったく異なる新世代の画期的なプール循環ろ過システムとして、この<メガフロー>Fシリーズを販売していく方針です。
初年度 5億円、3年後 50億円
株式会社クラレ 機能材料事業部 環境機器事業推進部 TEL:06-6348-2161