当社は、米国Celanese Advanced Materials Inc.(以下CAMI社)のポリアリレート<ベクトラン>繊維事業を買収することを決定し、4月1日CAMI社と契約を締結しました。CAMI社のベクトラン事業に関する資産すべてを買収します。買収時期は今月中の予定です。
当事業は、米国サウスカロライナ州フォートミルに本拠を置き、北中南米・欧州向けに<ベクトラン>繊維の開発・販売を行っています。買収後は当社の米国現地法人のKuraray America Inc.(以下KAI社)の新規事業部として運営をしていきます。この買収により、クラレグループが世界でただ一社生産する<ベクトラン>繊維は、グループの事業方針のもと、世界市場でさらに強力に展開されることとなります。
1997年の「マーズパスファインダー」に続き、2004年、火星に降り立ったNASAの探査機「スピリット」「オポチュニティ」が着陸に成功した背景には、<ベクトラン>製の特殊エアバッグの活躍がありました。CAMI社の米国市場での幅広い用途展開が、NASAによる採用に繋がりました。
ポリアリレート<ベクトラン>繊維は、一般的にスーパー繊維と呼ばれる高強力高弾性率繊維です。優れた低クリープ性・非吸湿性・極低温下での高強力物性・耐湿磨耗性など高機能繊維として種々の特長を持っています。日本国内では、水産資材などの既存用途に加えて、イヤホンコード・成層圏飛行船膜材のテンションメンバー、バレーボール・テニスのネットロープや海洋調査用ロープ、プラスチックの補強材料などベクトランの性能が際立って活かせる用途での利用が進んでいます。
さらに欧米市場では、ロープ、膜体の基布、防護手袋といった広範な用途に展開され、土木・建築資材、光ケーブル、さらには新規用途の分野で一層の成長が期待されます。
当社の<ベクトラン>事業は、1990年に生産を開始して以来、CAMI社との密接な協力関係のもと着実に拡大してきました。今回の買収は、当社の繊維資材事業の先端材料である<ベクトラン>をさらに拡大し、当社が保有するビニロン<K-Ⅱ>など産業向け機能繊維と市場開発面でのシナジーを強化していく戦略に合致したものです。大市場である欧米市場を当社自らが手掛けることにより、一貫生産・販売体制を確立することができ、当市場の情報・ニーズをより早くより正確に捉え、事業拡大の一層のスピードアップが可能になります。さらには研究開発の日・米一元化により、先進的なニッチ分野の開拓を推進し中長期的な事業拡大に繋げていきます。
(1) 会社名 | Celanese Advanced Materials Inc. Vectran Division (米国Celanese Corporationの関連会社) |
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(2) 所在地 | 米国サウスカロライナ州フォートミル(Fort Mill) |
(3) 売上高 | 約6百万US$(2004年) |
(4) 従業員 | 7名 |
(5) これまでのクラレとの関係 | クラレの原糸売りの欧米向け販売窓口(distributor) |
(1) 会社名 | Kuraray America Inc. |
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(2) 社長 | 吉野 博明 |
(3) 本社 | アメリカ ニューヨーク |
(4) 資本金 | 8,702千US$ |
(5) 従業員数 | 37名 |
(6) 主要事業 | クラレ製品の輸入販売、新規・既存製品の用途・市場開発、新技術・新市場の探索・情報収集 |