クラレリビング株式会社(以下クラレリビング)と三井物産株式会社(以下三井物産)は、北海道大学古月文志教授の指導の下にカーボンナノチューブ(以下CNT)分散水溶液技術を用いて、CNTを被覆した導電繊維(CNTコーティングポリエステル加工糸)の開発に成功しました。
クラレリビングと三井物産は共同で、このCNTコーティングポリエステル加工糸を2007年10月24日からドイツで開催される‘K 2007 17th International Trade Fair, Plastics & Rubber(K Messe)に出展します。
静電気帯電防止は、日常の電気ショックの不快感を減らす目的だけではなく、放電による電子データの破損防止、精密電子部品の製造工程における欠陥による損失低減、揮発性ガスの防爆などに必要不可欠な機能です。現在、帯電防止に用いられる導電繊維はモノフィラメントに導電カーボンをコーティング処理したものや、導電カーボンを練り込んだポリマーを用いた溶融複合繊維が主流であり、年間30百万ドル以上の市場があります。主たる適用商品は帯電防止機能を有する衣料、帆布、排気・換気用フィルター、カーペットなどです。
クラレリビングは、三井物産が販売する多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を水に分散したCNT分散水溶液を用い、精密糸染色技術を応用して、ポリエステルマルチフィラメント加工糸にCNTを均一にコーティングしネットワークを形成する方法を確立し、導電繊維(CNTコーティングポリエステル加工系)の開発に成功しました。
特長は以下の通りです。
今回、当導電繊維の開発で確立したCNT分散水溶液および精密糸染色技術によるCNTネットワーク形成技術は、ポリエステル織編物やポリエステル以外の繊維素材への適用も可能であり、CNTの各種特性を生かした商品開発を進めています。
クラレリビングおよび三井物産は、原材料の安全性に注意を払い、CNTを用いた製品の商業化を目指します。