当社はこれまで、熱可塑性エラストマー商品群 <セプトン>、<ハイブラー>の高性能・高機能銘柄として、<セプトン> Vシリーズ、<セプトン> Qシリーズを開発・展開してきました。さらにこのラインアップの充実・強化を目指し、このたびガラスおよび金属への接着性に優れた<セプトン> Kシリーズを開発しました。
水添スチレン系熱可塑性エラストマー <セプトン>、<ハイブラー>は、各種プラスチックと同様に加熱して容易に成形できるとともに、ゴムのような弾力性に富む特長があり、加硫ゴムや軟質塩化ビニルに替わる軟質成形材料として広く使用されています。この水添スチレン系熱可塑性エラストマーは現在約12万トンの世界市場があり、年率約7%で拡大しています(当社推定)。
<セプトン> Kシリーズは、当社が蓄積してきたポリマー合成技術とアロイ化技術を組み合わせて開発された新しいコンセプトの材料です。既存のエラストマーは、ガラスおよび金属に対して実用に耐える接着性能を得るためにプライマーなどの前処理が必要となります。一方、<セプトン> Kシリーズは、前処理無しでガラスおよび金属に直接射出あるいは押し出し成形することで、熱可塑性エラストマーとしての長所を維持しながら、大変良好な接着性を発現することを可能にしました。
特にガラス関連、自動車部材、電気・電子部品等の分野において、<セプトン> Kシリーズは、その優れた接着性により、製造工法の省略化・合理化や自由度の高い製品設計を可能にする画期的な成形材料であり、今後さらなる製品・市場開発を進めることで、フィルム分野、シーラント・コーティング、粘接着分野への展開も期待されます。
当社は、<セプトン> Kシリーズのマーケティングを日・米・欧・亜で同時に開始することでマーケットニーズを的確に把握し、グローバル用途開発を加速させ、この新製品を新たに核の一つとし、エラストマー事業の拡大を目指してまいります。
なお、<セプトン> Kシリーズにつきまして、ドイツで開催される展示会「国際プラスチック加工専門見本市」(略称:FAKUMA2009、会期:2009年10月13日~19日、会場:ドイツ・フリードリッヒスハーフェン見本市会場)において、現地代理店の出展ブース(ブースNo.A4-4306)で紹介する予定です。
クラレが蓄積してきたポリマー合成技術とアロイ化技術を組み合わせて開発した、新たな高性能熱可塑性エラストマーです。
単位 | <セプトン> Kシリーズ (開発品/仮称KM079) | 従来のスチレン系 熱可塑性エラストマー | ||
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硬度(Type A) | 50 | 58 | ||
接着力 | 対ガラス | N/25mm | 128 | <1 |
対アルミニウム | N/25mm | 129 | <1 | |
対マグネシウム合金 | N/25mm | 125 | 3 |
サンプル成形条件:熱ブレス成形、温度240℃、ゲージ圧2MPa,時間3分
以上