株式会社クラレ(社長:伊藤文大、本社:東京都千代田区、以下「クラレ」)はこのたび、液晶ポリマーフィルム<ベクスター>の新規銘柄として、耐熱性に優れた“CT-Z”フィルムと、光反射性に優れた“FB”フィルムを開発し、販売を開始しました。
<ベクスター>は、クラレが独自の製膜技術により開発した液晶ポリマーフィルムで、電気特性、高周波特性、耐熱性、寸法安定性に優れ、さらに低吸湿性であることから、電子回路基板用の絶縁材料、特に高速伝送フレキシブル回路基板向けを中心に展開しています。近年、パソコンやデジタルカメラなどの分野における電子情報の伝送速度の高速化に伴い、大容量・高速処理が可能な高周波領域向けの回路開発が進められています。
このたび開発した<ベクスター>の二種類の新規銘柄は、高周波領域での電気特性に加えて、従来タイプと比較して、高い耐熱性や光反射性などの特性を兼ね備えたものです。
“CT-Z”フィルム使用回路基板への手ハンダ作業
“CT-Z”フィルムは、市販液晶ポリマーフィルムの中で最高レベルの耐熱性を持つフィルムです。高周波領域での電気特性などの特長から、フレキシブル回路基板や多層回路基板の絶縁材に適した素材です。さらにその優れた耐熱性により、従来の銘柄では困難であった高温ハンダごてを使った手作業によるハンダ付け・修正(リペア)への対応を可能としており、さらなる用途拡大が期待されます。
“FB”フィルム使用の白色・青色LED回路基板
“FB”フィルムは、優れた光反射性を持つフィルムです。鉛フリーハンダを用いた自動ハンダ付け工程に対応する耐熱性を持ちながら、市販液晶ポリマーフィルムの中で最高レベルの光反射性を兼ね備えています。さらに熱による光反射性の劣化が非常に小さいため、白色LED基板用途に適した素材としてマーケティングを進めてまいります。
なおクラレは、東京ビックサイトで開催される展示会「先端電子材料EXPO」(会期:2010年1月20日~22日)へ出展し、“CT-Z”フィルム、“FB”フィルムを紹介する予定です(ブースNo.東24-002)。
“CT-Z”フィルム (新規開発銘柄) | 従来銘柄 “CT-V”フィルム | 備考 | |
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耐熱性(50μm) 手ハンダ耐熱性(℃)(ハンダごて設定温度) ハンダフロート耐熱性(℃) | 380 350 | 350 320 | クラレ法、10秒 JIS法、60秒 |
“FB”フィルム (新規開発銘柄) | 従来銘柄 “CT-S”フィルム | 備考 | |
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光反射率(50μm) 状態(%) 150℃×1000時間後(%) 200℃×4時間後(%) | 80 80 80 | 70 70 70 | 光の波長: 470nmを測定 |
耐熱性(50μm) 手ハンダ耐熱性(℃)(ハンダごて設定温度) ハンダフロート耐熱性(℃) | 315 300 | 320 290 | クラレ法、10秒 JIS法、60秒 |
以上