ニュース

株式会社クラレ

PSFのサンプル写真(直径0.7㎜)

PSF断面の拡大写真
(外周クラッドが2重となっている)

当社は米国の素粒子研究所であるフェルミ研究所およびジェファーソン研究所からニュートリノおよびクォークの検出用素材としてプラスチックシンチレーションファイバー(以下、PSF)の大量発注を受け、製品の出荷を開始しています。
PSFはプラスチック製光ファイバーの一種で、当社が1980年代に世界唯一の製法により放射線検出用素材として開発。その後、国内では高エネルギー加速器研究機構、海外では世界最大規模の高エネルギー加速設備を持つスイスのセルン欧州原子核研究機構など、数々の研究機関への地道な供給継続と技術蓄積を背景に素材の品質向上を図った結果、放射線検出用素材のデファクトスタンダードとなり、過去約20年間の出荷総額とほぼ同等という今回の大型受注につながりました。
今回の使用目的であるニュートリノおよびクォークの研究は、2002年に小柴昌俊氏が、2008年に小林誠・益川敏英両氏がそれぞれノーベル物理学賞を受賞した研究の延長線上にあり、その成果が大いに期待されています。
またPSFは、宇宙物理学のトレンドであるダークマター(暗黒物質)の検出用素材としても活用が見込まれています。
当社は、独自技術により開発した素材が最先端の学術研究に貢献できることを誇りに、今後もPSFの技術開発を進め、応用分野の開拓にも注力していきます。

プラスチックシンチレーションファイバーについて
コア(内側)が蛍光剤入りのポリスチレン樹脂、クラッド(外側)がメタクリル系樹脂の二重構造(クラレ独自)になっているプラスチック製光ファイバー。放射線が当たると光るという性質をもち、放射線検出用素材として20年の使用実績がある。
当社は独自製法により光学性能・寸法精度ともに優れた製品の製造に成功し、メタクリル樹脂の生産事業所である新潟事業所で生産している。
フェルミ研究所(フェルミ国立加速器研究所)、ジェファーソン研究所(トーマス・ジェファーソン国立加速器施設)について
いずれも米国エネルギー省所管の国立高エネルギー物理学研究施設。フェルミ研究所には、セルン欧州原子核研究機構と並ぶ世界最大規模の高エネルギー加速設備がある。
ニュートリノについて
物質を構成する最も基本的な粒子と一般的に言われている素粒子の一種。他の素粒子(物質)との相互作用が弱く、宇宙ニュートリノは地球をも貫通する。小柴昌俊氏は宇宙ニュートリノを初めて検出した功績などによりノーベル物理学賞を受賞。一方、ニュートリノの質量は未だ確定値が得られていない。
クォークについて
素粒子の一種。例えば、原子核を構成する陽子や中性子は3つのクォークからなる。小林誠・益川敏英両氏は6種類のクォークの存在を提唱した功績など(小林・益川理論)によりノーベル物理学賞を受賞。
ダークマター(暗黒物質)について
宇宙を満たしている物質を様々な方法で見積もると、光などにより既に観測されている物質の10倍程度になると言われている。
その観測されていない物質がダークマター。ニュートリノなどがその物質の候補とされている。

※ 報道関係者様向け画像ダウンロードサービス

報道関係者様に限り、画像をクリックしてダウンロードの上ご利用いただけます。
ご利用に際しては、当社IR・広報部までご一報ください。

以上