クラレノリタケデンタル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:松山貞秋)は、高い強度と靱性を併せ持ち、耐久性にも優れるジルコニア系新素材を開発しました。ユニークな特長をもつ新素材として、歯科材料をはじめ他分野へも展開を進めます。
現在一般的に使用されている「イットリア部分安定化ジルコニア」は高強度ではあるものの、セラミック特有の脆さを持つ材料である。また、ジルコニアは熱水条件※1下で結晶相が正方晶から単斜晶へ相転移することにより、強度が徐々に低下することが知られている。 当社は、信頼性の高いセラミック素材の開発を目指して、原材料の選択と製造プロセス改良を進めてきた。この度、製品に熱と等方圧をかけるといった特別な処理を必要とせず、「より高い曲げ強度と破壊靭性※2を併せ持ち、熱水条件下でも強度低下の原因となる単斜晶への相転移がほとんどない」ジルコニア系新素材の開発に成功した。
試験項目 | 単位 | 従来ジルコニア | 開発品 |
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3点曲げ強度 | MPa(メガパスカル) | 900~1,200 | 1,500 |
破壊靭性 | MPa√m(メガパスカルルートメートル) | 4~5 | 12 |
単斜晶率(耐熱水性試験) | %(パーセント) | 80 | 1未満 |
開発品は従来ジルコニアよりも高い曲げ強度と、破壊靱性を持つことから、例えば大きな変形量まで破壊しないといった特長を示す。右写真は厚さ0.2mm、幅4mmの開発品の板状試料を3点曲げ試験を行った際の様子を側面から観察したものである。見やすいように試験片は赤色に着色してある。
従来ジルコニアは水平位置から4mm押し込んだ時点で破壊したが、開発品は6mmまで押し込んでも、たわんだ状態を維持しており、破壊するまでの変形量に大きな差が認められた。
耐熱水性試験(ISO13356:2008)では、従来ジルコニアは5時間の時点で単斜晶の割合が0から12%程度まで増加し、さらに15時間まで延長すると80%程度まで増加した。
一方、開発品は試験時間を200時間まで延長しても単斜晶の割合はほぼゼロのままであり、より耐久性に優れる材料といえる。
歯科材料、人工関節、一般工業用途など
会社名 | クラレノリタケデンタル株式会社 |
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設立日 | 2001年10月1日 |
本社所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目1番3号 |
代表者 | 松山貞秋 |
資本金 | 3億円(㈱クラレ66.7%、㈱ノリタケカンパニーリミテド33.3%) |
従業員数 | 386名 |
事業内容 | 歯科用接着材・充填材、歯冠用硬質レジン、歯冠用セラミックス、歯科用石膏、歯科用CAD/CAM機器など |
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