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株式会社クラレ

 皆さん、入社おめでとうございます。
 本日、高い志と希望に満ち溢れた皆さんをクラレグループに迎えることができて、たいへん嬉しく思います。今日の良き日を記念して、クラレグループを代表して挨拶を申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の流行もようやく収まりを見せており、我々の日常生活・社会活動も従前に戻りつつあります。皆さんは貴重な学生生活の長い期間を行動制約のある状況の下で苦労をし、頑張ってこられたことと思いますので、一層感慨深いものがあるでしょう。そのような中で本日を境に、社会人、クラレパーソンとしてのキャリアをスタートすることになりますが、これからの人生への心構えを新たにして、力強く一歩を踏み出していただきたいと思います。

 会社に入り、これから先何年も仕事を続けていく上で、まず一番大事なことは、良い身心の状態を保つこと、健康であることです。これは皆さん自身が幸せな生活を送り、働き甲斐を感じて質の高い仕事をすることにつながる基本です。バランスの良い食事を心掛けること、十分な睡眠と休息をとること、適度な運動を続けること、心のリフレッシュを意識することなどが大切です。体調がすぐれないと仕事で集中力を欠いてしまう、能率が上がらない、事故やミスを起こしやすい、といったことにも繋がります。常日頃から健康管理には十分に留意するようにしてください。皆さんが安心して健康で働けるように、会社も職場の環境や制度を整備しています。

 次に、皆さんは社会人として、それぞれが立派なひとりの大人であることを常に心掛けて欲しいと思います。社会の一員として基本となる倫理観、道徳心、自立力などは当然身に付けなければなりませんが、その上で特長ある人格を確立する努力を毎日続けていれば、何年かの積み重ねにより自分の「芯」が形成されていきます。そして、社会や人生に対する自分の「価値観」が定まってくるでしょう。自分の「価値観」が定まってくると、それが自らの考え方や行動への自信にも繋がり、ひいては相手を敬う心を大事にするようになります。また、組織やチームの中でリーダーシップを発揮する能力も醸成されます。立派な社会人であり、かつ、立派なクラレパーソンであることを目指し、心掛けてください。
そのためには、「受け容れる心」を持つことも大切です。受け容れる、には二つの意味があって、ひとつは、自分に起こる出来事を受け容れること。もうひとつは、今の自分自身を受け容れること、です。受け容れることで、皆さんは徐々に大きな器となっていきます。

 ここで、これから皆さんが実際に職場で仕事に取り組む際に、私が自らの経験も踏まえて大事だと考える3つの心構えについてお話しします。

分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く

 1つ目は「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」ということです。 初めて取り組む仕事に対して最初から分かった振りをせず、謙虚に教えを請うという姿勢が大切です。私自身の経験からしても、入社して最初の頃は「何を知らないのかさえ分からない」状態だったと思います。目の前に見えていることだけではなく、他にも目に見えない多くの「知らないこと」があるはずですから、とにかく分かるまで聞く事です。そして勿論、聞いて教わったことはしっかり覚える努力をして下さい。

与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす

 2つ目は「与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす」ということです。実際に職場に配属されると、それまで想像していた仕事のイメージとは違う事は往々にして有ります。しかしながら、皆さんに与えられる仕事は、それぞれに皆さんの今後のキャリアを見据えて、その時点での習熟度を勘案しながら、上司が良く考えた末に用意されたものです。会社や仕事の全体像が分からない中で、目先に与えられた業務だけで早計に判断して、不満を抱いたり、意欲を無くしたりはしないで欲しいと思います。全ての仕事には必ず意味があります。与えられた仕事や役割に対し、少なくとも何年かは真摯に取り組んでみることが大切です。小さな一つひとつの積み重ねが、結局は自分の力となっていることが多いのです。
どんな仕事にも真摯に向き合い、受け容れ、誠実に取り組んで結果を出すことで、周りの人は皆さんへの信頼を高めます。そうすることで、次にはもう少し大きな、重要な仕事を任せてもらえるようになるのです。

自己研鑽を続ける

 3つ目は「自己研鑽を続ける」ということです。
学校を卒業したから勉強は終わりと考えるのではなく、会社に入り、これからが勉強だと考えて欲しいということです。社会人としての基本的な教養を身に付け成長するためにも、色々なジャンルの本を読んだり、他人の話を良く聞いたり、外部の講習や研修に積極的に参加したりして、見聞を広め、知見を深め、考える力を養ってほしいと思います。
中でも、出来るだけ多くの本を読むことは、手軽に続けられることですのでお勧めします。読書は、少ないお金で古今東西の様々な人の考えや出来事に触れることができ、豊富で充実した情報と教訓が詰まっている、非常に有意義な手段です。
 自己研鑽への投資は、一番確実に自分にリターンをもたらす投資です。将来、絶対に無駄になることは有りませんので、是非意識をして自分を高める努力を続けてください。

 さて昨今、社会の潮流として企業の社会的責任や、社会貢献への姿勢がより強く問われるようになってきましたが、クラレには以前からずっとそれを体現してきた歴史があります。言葉やスローガンだけでなく、実績としてそれを積み上げてきたことが、当社の真の強みです。
 当社の創業者である大原孫三郎は「社会から得た利益は、社会に還元する」という基本理念から、会社の経営基盤を固めつつ、様々な社会福祉活動や公共的な事業を行いました。第2代社長の大原總一郎もこれを受け継いで、更に「企業が得るべき利潤は技術革新による利潤、社会的、国民経済的貢献に対する対価としての利潤に限る」という理念を掲げ、それを実現するために独自の卓越した技術にこだわり、様々な困難を乗り越えて数々の事業を立ち上げ、会社を発展させました。
その後も当社は、「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命を掲げて、独創性の高い技術をベースに多くの世界ナンバーワン、オンリーワンの製品や事業を生み出し、自然環境と生活環境の向上に貢献してきました。

 皆さんは本日、このような歴史と企業文化を持ち、さらに進化と成長を続ける当社に入社します。これからはクラレグループの一員として、この素晴らしい企業資産を引継ぎ、益々発展させるために一緒に考え、未来に向けて共に進みましょう。

 以上、皆さんの入社に際して、私の挨拶と激励の言葉といたします。

以上

代表取締役社長 川原 仁