皆さん、入社おめでとうございます。
本日、高い志と希望に満ち溢れた皆さんをクラレグループに迎えることができて、たいへん嬉しく思います。今日の良き日を記念して、クラレグループを代表して挨拶を申し上げます。
今日の社会情勢は、皆さんも感じられている通り、足元の不安定さにより先行きの不透明さが増しています。ここ数年において、国際的なパワーバランスが変化しており、また昨年から今年にかけては主要国の多くでリーダー交代による政策の変更が行われるなど、今後は不確実性がさらに高まることも予想されます。一部の地域では、いわゆる地政学上のリスクが顕わになり、世界経済にも大きな影響を及ぼしています。また地球温暖化を防止するための脱炭素の取り組みは、世界各国による協調を求められる地球規模での課題ですが、その道のりは混迷の度合いを深めています。企業としては、このような状況の中でどのような価値を提供し、どのような価値観を示すことができるか、真価を問われる時代にあると言えます。
このような時代に、皆さんは自身が働く会社を選ぶにあたり、どのような会社で何を成し遂げたいかについて、しっかりと考えられたのではないでしょうか。結果としてクラレグループの仲間となることを決断されたことを、非常に頼もしく感じます。そしてそのような決断をした皆さんとともに、この先の未来を築いていくことを楽しみにしています。
社会人となり、これから先長く仕事をしていく上で、一番大事なことは、良い心身の状態を保つこと、健康であることです。これは皆さん自身が幸せな生活を送り、働き甲斐を感じて質の高い仕事をすることにつながる基本です。体調がすぐれないと、仕事で集中力を欠き能率が上がらない、事故やミスを起こしやすい、といったことにもなりかねません。常日頃から健康管理には十分に留意するようにしてください。皆さんが安心して健康で働けるように、会社も職場の環境や制度を整備しています。
次に、皆さんは今日から社会人としての一歩を踏み出しますが、社会人としての基本的な倫理観、道徳心、自立心を備えることはもちろん、一人ひとりが「クラレグループの一員」としての自覚を持ち、かつ「社会の一員」であることを常に意識した行動をとってください。皆さんの言動には責任が伴います。そして、責任ある言動をする人には、皆さんの周囲の人たちは喜んでサポートをしてくれます。皆さんにはそのような「応援される人」であってほしいと考えています。
さてここで、これから皆さんが実際に職場で仕事に取り組む際に、私が自らの経験も踏まえて大事だと考える3つの心構えについてお話しします。
分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く
1つ目は「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」ということです。
初めて仕事をするわけですから、皆さんが最初から多くを知っているはずもなく、それは職場にいる周りの人達もよく理解しています。初めて取り組む仕事に対して最初から分かった振りをせず、謙虚に教えを請うという姿勢が大切です。私自身の経験からしても、入社当初は「何を知らないのかさえ分からない」状態でした。目の前に見えていることだけではなく、目に見えない多くの「知らないこと」があるはずですから、とにかく分かるまで聞きまくる事です。そして勿論、聞いて教わったことはしっかり覚える努力をして下さい。しばらくは、聞き魔、メモ魔に徹してもらっても結構です。
聞くのを躊躇して変に知ったかぶりをしていると、それが後々にミスやトラブルにつながる事もあり得ます。職場に配属されると、周りの先輩や上司たちは忙しそうにしていて、質問ばかりしてはいけないような気持ちになるかも知れませんが、そのようなことは有りません。彼らも、自分たちも最初は同じことを経験しており、また、教えることで皆さんがいち早く仕事を身に付けてくれた方が、結局は会社全体の為になる事を分かっているので、親切に教えてくれるはずです。
与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす
2つ目は「与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす」ということです。
実際に職場に配属されると、それまで想像していた仕事のイメージとは違う事が往々にして有ります。しかしながら、皆さんに与えられる仕事は、皆さんのその時点での習熟度を勘案しながら、今後のキャリアを見据えて、上司や先輩が良く考えた上で用意されたものです。全ての仕事には必ず意味があります。与えられた仕事や役割に対し、それが小さなことに思えたとしてもまずは真摯に取り組んでみることが大切です。小さな一つひとつの積み重ねが、結局は自分の力となっていることが多いのです。
どんな仕事にも真摯に向き合い、受け容れ、誠実に取り組んで結果を出すことで、周りの人は皆さんへの信頼を高めます。そうすることで、次にはもう少し大きな、重要な仕事を任せてもらえるようになるのです。
自己研鑽を続ける
3つ目は「自己研鑽を続ける」ということです。
これは、学校を卒業したから勉強は終わりだ、ではなく、会社に入ってさあこれからが本当の勉強だ、と考えて欲しいということです。社会人としての基本的な教養を身に付け、人間として成長するためにも、またいろいろなスキルを身に着けるためにも、様々なジャンルの本を読んだり、他人の話を良く聞いたり、外部の講習や研修に積極的に参加したりして、見聞を広め、知見を深め、考える力を養ってほしいと思います。
中でも、出来るだけ多くの本を読むことは、手軽に続けられることですのでお勧めします。インターネット、SNSなどのリアルタイムの情報は、同時性はありますが、その分、十分な調査と事実に基づく分析や検証、深い洞察に欠けるところがあります。その点、読書は、少ないお金で古今東西の様々な人の考えや出来事に触れることができ、豊富で充実した情報と教訓が詰まっている、非常に有意義な手段です。
自己研鑽への投資は、一番確実に自分にリターンをもたらす投資です。将来、絶対に無駄になることは有りませんので、是非意識をして自分を高める努力を続けてください。
以上、仕事をする上でのアドバイスとして、私の経験も踏まえて3つお話ししました。「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」ということ、「与えられた仕事や役割で、ベストを尽くす」ということ、そして「自己研鑽を続ける」ということです。
仕事に臨む際の心構えとしていただき、出来れば1年後、2年後、そして数年後に振り返りをしてみて下さい。
さて、最後になりますが、昨今、社会の潮流として企業の社会的責任や、社会貢献への姿勢が強く問われ、それらへの取り組みがより注目されるようになっています。しかしながら、クラレには以前からずっとそれを体現してきた長い歴史があります。言葉やスローガンだけでなく、実績としてそれを積み上げてきたことが、当社の強みです。当社はその100年近い歴史の中で、「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命を掲げ、独創性の高い技術をベースに多くの世界ナンバーワン、オンリーワンの製品や事業を生み出し、自然環境と生活環境の向上に貢献してきました。そして、研究開発、生産・技術開発、マーケティング、販売、アフターサービスの循環をグローバルに展開して成長してきました。
その歴史・積み重ねは様々な場所に見られます。特に事業所の生産現場には、原料が製品となり、当社の製品が世の中に出ていくまでの過程や、高品質の製品を安全、かつ効率的に生産するための工夫が随所に見られます。新入社員の皆さんには実際に自分自身でその工夫を肌で感じ取ってほしいと思います。また同時に、過去の大きな事故の反省を踏まえ、「安全はすべての礎」の言葉を全社の行動指針として、労働安全、保安防災に真摯に取り組んでいる姿も学べるはずです。さらには、デジタル技術の導入や創意工夫を含めた新たな挑戦に積極的に取り組んでいる姿も見ることになるでしょう。
本社の新入社員の皆さんは、これから国内の生産事業所での研修をすることになりますが、そこでは「製造メーカー」であるクラレの原点に触れる機会が多々あると思います。ぜひ多くのことを感じ取り、学んでください。そして、今後配属される各職場においても、同様に様々な知識や経験を蓄積し、これから先の自身の成長、キャリア形成の糧として欲しいと思います。
皆さんは本日、このような歴史と企業文化を持ち、さらに進化と成長を続ける当社に入社しました。これからはクラレグループの一員として、この素晴らしい企業資産を引継ぎ、益々発展させるために一緒に考え、未来に向けて共に進みましょう。皆さんの可能性に大きく期待しています。
以上、皆さんの入社に際して、私の挨拶と激励の言葉といたします。
以上