社会とのかかわり
クラレグループは、社会の健全で持続可能な発展が企業としての成長や繁栄の条件であるとともに、企業活動の究極の目標であると考えます。人々にとって価値のある製品や事業を通して社会に貢献することはもちろん、企業市民として積極的に社会的な問題に取り組むことは、企業として重要な活動であると認識しています。
クラレグループ社会貢献活動方針に則り、文化・学術・環境・福祉分野を中心に活動しています。
クラレグループ社会貢献活動方針
クラレグループは、社会の一員としての責任を果たすため、以下の方針に基づき、社会貢献活動に積極的に取り組みます。
活動のあり方
- 社会的な課題の解決につながる活動
- 国内外の事業拠点の地域社会に根ざした活動
- 社員の主体的参加を重視した活動
- 長期的に持続可能な活動
活動の領域:「文化」「学術」「環境」「福祉」を重点領域とする。
クラレグループの業容、存在感がグローバルに拡大する中で、クラレの出資により2016年4月に一般財団法人クラレ財団が設立されました。より広範囲で規模感のある社会貢献を果たすことを実現するため、クラレの歴史を踏まえた創意ある活動を実践しています。
クラレ財団
社会とのかかわりの目標と実績
目標 | 実績 | 評価と課題 | 2022年度目標 |
【学術】 「ランドセルは海を越えて」キャンペーンの着実な実行 |
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【学術】 「少年少女化学教室」を年1回以上実施する |
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【福祉】 知的障害者の作業施設の運営 |
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【文化】【学術】 【環境】【福祉】
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文化
クラレグループは、初代社長の大原孫三郎が設立した公益財団法人大原美術館の支援を継続的に実施すると共に、事業所での文化活動の支援も行っています。
岡山事業所では、2005年から「小学生絵画・書道コンクール」を毎年開催しています。本コンクールは、日頃の成果を発揮する場として定着しており、2021年度は事業所近隣の5つの小学校から絵画・書の作品合わせて554点の作品応募がありました。今後も継続して取り組んでいきます
学術
各事業所では「少年少女化学教室」の開催、社外イベントへの参加、スポーツ大会の主催などを実施して、従来の活動を継続支援することによる健全な青少年育成を目指しています。
「少年少女化学教室」は子どもたちに化学実験を通して、化学の楽しさを知ってもらう小学生を対象とした教育活動です。この取り組みは、事業所内の専門教室や、地域の小学校、公共施設などで、社員ボランティアが講師やアシスタントを務めるもので、1992年より毎年国内の各事業所で開催しています。2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応として策定した「イベント・催事を自粛する方針」に則り事業所での、開催はいたしませんでしたが、事業所・地域小学校でのリモート授業での開催(鹿島事業所 1回)、社外の地域文化施設での開催(鶴海 2回)をいたしました。
事業所 | 教室名 | 累計 | 累計参加人数 |
倉敷事業所 | おもしろかがく館 | 75回 | 1,951名 |
西条事業所 | わくわく化学教室 | 80回 | 2,336名 |
岡山事業所 | おもしろ化学教室 | 49回 | 1,479名 |
新潟事業所 | ふしぎ実験室 | 61回 | 1,659名 |
鹿島事業所 | おもしろ化学教室 | 30回 | 1,644名 |
鶴海事業所 | 出張授業など | 6回 | 393名 |
合計 | 301回 | 9,462名 |
さらに、各事業所では青少年育成の観点から、スポーツ大会を開催しています(2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応として策定した「イベント・催事を自粛する方針」に則り、開催いたしませんでした)。また、各事業所が保有する野球場・体育館・テニスコートを近隣の住民に開放し、地域スポーツの振興に努めています。これらの活動は今後も継続していきます。
環境
新潟事業所では森林保全活動として「ミラバケッソの森づくり活動」を実施しています。2021年度の活動では、社員・ご家族を含め43名が参加しました。また、全ての事業所で清掃ボランティアを継続して行っています。グループ会社においても事業所周辺の清掃活動などを定期的に行っています。
クラレの各事業所では、自治体・NPO法人と連携して、社員ボランティアによる公園や道路の清掃、保育園の園庭の芝刈り等の活動にも取り組んでいます。
欧州のクラレヨーロッパでは、2021年7月に発生した洪水災害により川沿いで大きな被害が発生したドイツ・Ahrtal地域の被害者を支援するために、1万ユーロを寄付しました。また、クラレヨーロッパ所属の社員も復興工事のため、4,115ユーロを集めて寄付をしました。
米国のクラレアメリカでは、2014年から21年10月までガルベストンベイ財団のパートナーになっています。ガルベストンベイ財団は、1987年からガルベストン湾の保護を目的に設立された自然保護非営利団体です。クラレアメリカは財団が企画するテキサス州で最大のガルベストン湾の清掃イベントの1つであるTrash Bash®に、2015年から毎年参加しています。2021年3月のTrash Bash®では、COVID-19安全ガイドラインに従い、「仮想」イベントに切り替えられ、参加者はガルベストン湾の代わりに近所、公園、または排水管をきれいにすることになり、クラレアメリカの従業員とその家族が、地元の清掃活動に参加しました。
米国のモノソル(米国 インディアナ州)のLa Porte事業所社員は園芸(トマト、ピーマン、イチゴなど)でのボランティア活動をしています。収穫した新鮮な野菜や果物を地元のフードバンク(食べ物が入手できず困っている人に無償で配付する団体)に卸しています。
福祉
倉敷事業所、西条事業所、岡山事業所、新潟事業所、鹿島事業所では、知的障がい者の就労支援・雇用数の維持・定着を図ることと、クラレふれあい募金の実施を目標に、知的障がい者の作業施設の運営、また各事業所でクラレふれあい募金の寄付などを実施しています。また西条事業所と新潟事業所では桜の開花時期に合わせて観桜会を開催しています。2021年度はコロナウイルス感染拡大に伴う対応として開催いたしませんでしたが、今後も活動を継続していきます。
クラレは、障がい者に雇用機会を提供することによって、その自立を支援するため、地域の福祉施設と連携して知的障がい者のための作業所を設置しています。新潟事業所の「クラレ作業所」は、1997年に中条町(現・胎内市)と社会福祉法人七穂会「虹の家」の協力を得て、知的障害者就労の場として開所し、生産工程で発生する端材をリサイクルするための分別や、備品の製作などを行っています。2007年には西条事業所の「ひまわり作業所」が開所、2011年には鹿島事業所で、社会福祉法人神栖啓愛園の支援により「あおぞらワークス」が、2017年に岡山事業所でクリーニングセンター「アレスコ」が開所、倉敷事業所で作業服のクリーニング・製品のラベル貼付作業に従事している社員を含めると、5つの作業所で、あわせて15名の指導員と42名の作業員が働き、様々な業務に従事しています。また社員とスポーツイベントなどを通じて交流しています。今後も引き続き運営を継続し、雇用の維持・定着を図ります。
作業内容 | |
倉敷 | 作業服のクリーニング、製品のラベル貼付 |
西条 | 製品のリサイクル、作業服のクリーニング |
岡山 | 作業服のクリーニング、製造治具の洗浄 |
新潟 | 製品のリサイクル、鍋敷・エプロンの製作、作業服のクリーニング |
鹿島 | 製品の包装袋の二重化、異物選別 |
クラレでは、従業員の寄付金に、その同額を会社がプラスして行う寄付制度であるマッチングギフトを、「クラレふれあい募金」の名称で1992年7月からスタートしました。制度に賛同する従業員が月次給与100円未満の端数を積み立て、その同額を会社が拠出します。集まったお金は基金として、社会福祉に役立てるよう活用しています。各事業所の近隣にある福祉施設や自治体、学校を中心に、介護用品や図書等を寄贈するなど、地域に根ざした活動を行っています。今後も引き続き、基金を社会福祉に役立てていきます。
米国のクラレアメリカ ヒューストンに勤務している従業員は、2021年5月15日と11月6日に、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ベイタウンにボランティアとして参加し、恵まれない人々の家を建てる手伝いをしました。ハビタット・フォー・ヒューマニティは、恵まれない人々に家を提供することを支援する非営利団体です。決して金銭的には恵まれてはいないが、それぞれのコミュニティで重要な役割を担っている人々に手頃な価格の住宅を提供することが彼らの使命です。このイベントで支援した人々にふさわしい、質が高く、安全でエネルギー効率のよい家を手ごろな価格で建てることができ、参加した誰もが素晴らしい時間を過ごしました。
米国のモノソルでは、COVID-19の影響で職を失った人々に食料を提供するために、緊急の募金を行いました。クラレ本社のサポートもあり、病院や老人ホーム用のマスクを確保し、地元の警察や消防署に非接触温度計を提供しました。また、地元の慈善団体をよりサポートするため、モノソルは従業員マッチングギフトプログラムの予算を倍に増やしました。
同時に、モノソルは地元企業への支援を様々な形で実行しました。安全衛生チームは、地元企業への支援の一環として、新しい安全プロトコルについて地元の製造業者に助言をしました。財務チームは、小規模ベンダーのキャッシュフローを支援するために前払いを行いました。地元の中小レストランの運営維持のために、持ち帰り用の食事を従業員に提供する「テイクアウト・テイクオーバー」プログラムを開始しました。
また、モノソルは、インディアナポリス地域の中小企業の所有者にマイクロローンを提供する事業回復基金の創設スポンサーになりました。さらに、パンデミックによって支援活動が制限される中、屋外での奉仕活動(地域の海岸清掃やハイウェイの清掃など)や地元学校への衛生用品や学用品の寄付、支援を必要とする女性団体への寄付や妊婦の支援などを実施しています。また、自転車やランニング、ウォーキングにより数千マイルを記録し、Charity Milesアプリを通じて希望のチャリティ団体に寄付するなど、すべての従業員が参加できるような支援活動を工夫しながら実施しています。
欧州のエバールヨーロッパでは有志によるサイクリストチーム(自転車愛好チーム)は、Kom Op Tegen Kanker(KOTK:ベルギーの「がん患者の権利を守る団体、ケアセンターの設立や科学研究、教育、予防のための財政的支援を行っている団体」)の自転車での1,000kmランに参加し、5,668ユーロを寄付しました。COVID-19のパンデミックはすべての人に影響を及ぼしていますが、COVID-19が拡大する以前からすでに不安定な生活を送っていた人々は大きな被害を与えています。この状況を少しでも緩和することを目指しています。
欧州のクラレヨーロッパでは、教育関連と社会問題を中心に、17件のプロジェクト28,000ユーロを寄付しました。患者とのその家族へのケア、消防士の訓練支援など、です。また、ゴルフ大会を企画し、ゴルフトーナメントの収益は、がん患者さんとそのご家族の精神的負担を軽減するための協会に寄付されました。
さらに、クラレヨーロッパでは「靴箱の中のクリスマス」という恵まれない子供たちにクリスマスプレゼントを提供する企画にボランティアとして毎年参加し、おもちゃやお菓子の梱包作業等を手伝いました。
Focus:ランドセルは海を越えて
「ランドセルは海を越えて」は、戦禍によって教育機会を奪われたアフガニスタンなどの子どもたちに、毎年、日本の小学生が使っていたランドセルを文房具や手紙を添えて贈る国際貢献活動で、これまでアフガニスタン・モンゴル・ネパール・カンボジアで活動実績があります。
2004年のスタートから18年目を迎えた2021年度は、全国各地から7,813個のランドセルの提供がありました。このランドセルは、10月~12月にかけてアフガニスタンのナンガハール州にある小学校に学用品と合わせてプレゼントされました。今までの累計は、141,816個になりました。今後、他の国にも支援の輪を広げたいと考えています。
年度 | 個数 | 年度 | 個数 |
2004年度 | 8,514 | 2013年度 | 6,396 |
2005年度 | 12,076 | 2014年度 | 7,908 |
2006年度 | 5,504 | 2015年度 | 7,111 |
2007年度 | 6,894 | 2016年度 | 7,732 |
2008年度 | 7,022 | 2017年度 | 6,857 |
2009年度 | 7,522 | 2018年度 | 8,076 |
2010年度 | 8,973 | 2019年度 | 7,938 |
2011年度 | 11,144 | 2020年度 | 6,010 |
2012年度 | 8,326 | 2021年度 | 7,813 |
累計 | 141,816 |