社会性報告

職場での取り組み

クラレグループは人材への基本的な考え方をまとめた「グローバル人事ポリシー」に基づいて、社員一人ひとりが仕事を通じて人間的に成長できるよう、多様性の推進、人材育成、公正・公平な評価などの制度を整えるとともに、健全な組織風土の醸成と雇用機会の創出に取り組んでいます。

クラレグループグローバル人事ポリシー

  • 個人の人権を尊重します。
  • 差別を撤廃し、多様性を尊重します。
  • 法律を遵守した人事施策を実行します。
  • 公平・公正・透明な人事制度を目指します。
  • 職場環境の整備に努めます。
  • クラレグループの発展に貢献できる人材の雇用に努めます。
  • 適材適所の配置を行います。
  • 納得性の高い評価・処遇を行います。
  • 能力開発を支援します。
  • 適切な情報開示、コミュニケーションの促進に努めます。

社会性目標と実績

テーマ 目標 経過・実績 評価・課題 2019年度計画
働きがいを実感できる人事施策の実施 社員に対する成長機会の提供
  • 年代別に「キャリアを自分でデザインする研修」を実施
    50歳管理職
    49名
    42歳管理職
    30名
    30歳ECコース(総合職)
    52名
    131名
  • 新入社員研修にキャリア講義を導入
  • EC社員が、会社頼みではなく、自律的にキャリアを形成する風土の醸成が課題
  • 「自律的なキャリア開発をサポートする仕組み」の継続
  • キャリア研修未受講の30代社員に対するキャリア研修を新たに企画・実施
  • GTT(Global Team Training)16、17期を実施
    参加者の半数は海外各社の社員
  • トレーニー派遣、「日本→海外」7名に加え、「海外→日本」2名の受け入れの実施
  • 海外からのトレーニー受け入れを増やすこと、M&Aで新たにクラレグループに加わった会社の早期プログラム参加が課題
  • グローバルベースでのリーダーシップ開発および次世代経営幹部の育成
  • グローバル研修の実施とトレーニーの拡大(海外から日本への受入増)
  • グローバル共通のリーダーシップ開発プログラム及び次世代経営幹部育成プログラムの開始
  • 人材マネジメントのグローバル運用基盤としてグローバル共通の職務グレード、評価制度、人材情報システムを開発、2017年より運用を開始
  • グローバル人材情報システムの機能整備と拡充、対象の拡大
  • グローバル人材情報システムの刷新と機能拡充の検討、及び人材情報の内容充実
  • グローバル制度の対象会社、対象従業員の拡大
ダイバーシティ、ワーク・ ライフ・バランスの推進 働き方改革の取り組み
  • 柔軟な勤務制度の整備では、海外との電話会議対応としての時差出勤制度の運用や、在宅勤務制度の試行の実施
  • 組織として、個人としての生産性向上のための様々な施策の実行が課題
  • フレックスタイム制度の試行、在宅勤務制度の本制度化
女性活躍推進
  • 部長クラスを対象としたワークショップを実施
  • 準管理職クラスの女性社員を対象とした研修を実施
  • 意識変革を促すための研修などの継続実施
  • 管理職層への研修(ワークショップ)実施
障害者の雇用推進
  • クラレの障害者雇用率2.37%
  • 2018年4月から、法定雇用率が2.2%に引き上げられており、2021年4月までに2.3%まで引き上げられる予定。雇用率が低い事業所・関係会社での取り組みが不可欠
  • 目標雇用率2.5%(2021年法定雇用率見込み2.3% +0.2%)の達成
  • 主要関係会社の障害者雇用率の増加
心身の健康管理施策の強化・推進 メンタル・ハラスメント対策の継続・強化
  • 研修(ラインケア・セルフケア研修)を継続実施(ラインケア研修受講率100%を達成)
  • ストレスチェックをクラレ国内グループで実施
  • 研修等のハラスメント対策を順次開始。
  • メンタルヘルス研修は、継続的な実施が課題
  • ハラスメント対策として、窓口担当者への研修を実施。ストレスチェック結果の活用も行っている。まずは個々人への意識付けが課題。
  • 管理職層へのハラスメント研修の実施と、社員への意識付け
  • ストレスチェックの継続実施と分析結果のデータ活用

社員数

社員数 2018年12月末現在
  全体 男性 女性
クラレグループ全体 10,768名 8,838名 1,930名
クラレ単体 4,019名 3,561名 458名

クラレ離職率(クラレ単体)

クラレ離職率(クラレ単体) 2018年度

  退職者数 離職率
自己都合 52名 1.29%
定年 28名 0.70%

人材育成

国内クラレグループでは、業務上必要な知識・スキルの獲得と社員の自律的なキャリア形成をサポートする人材育成制度を設けています。

育成プログラムは、正社員だけではなく、臨時パート社員、契約社員も必要に応じて受講が可能です。クラレ各事業所、国内グループ各社でも、独自の人材育成プログラムを企画・実施して、社員のスキル開発・キャリア形成にきめ細かく対応しています。また、自己啓発による一定の公的資格の取得に対して、奨励金を支給する資格取得支援制度も設けています。

グローバル人材育成プログラム

近年の海外売上高比率は60%超(2018年度68%)であり、グループ全体の4割を超える社員が海外で働いています。

クラレグループでは、グローバルな成長のために、世界を舞台に活躍できる人材を育成することを目的として、2007年度より「グローバル人材育成プログラム」を開始しており、2018年度までの12年間で国内外から800名以上が受講、毎年プログラムの見直しを行いながら継続実施しています。

なかでも、課長層を対象にグローバルリーダーシップ開発を目的としたGTT(Global Team Training) はこれまでに17回開催・受講者300名に達し、研修卒業生間のネットワークは、グループ内での国境を超えたコミュニケーションの促進に大きく貢献しています。

また、日本本社と海外子会社間で若手社員を3ヶ月限定で派遣するトレーニー制度も、利用者が約100名に達し、利用者の多くは後日海外駐在するなど、グローバル人材として活躍しています。

グローバル人材マネジメント

人材マネジメントにおいても、人材活用のグローバル全体最適を目指し、グローバルベースでの人材マネジメント基盤の整備に取り組んでいます。2017年度よりグローバル共通の人事評価制度と人材情報システムを段階的に導入しています。これにより基本的な人材マネジメントである ①業務目標設定とこれに基づいた人事評価、②能力開発、キャリア開発の支援、③優秀人材の発掘、ローテーションや最適配置、後継者計画の検討、をグローバルベースで行うことを目指しています。

併せてクラレグループグローバルで共通の行動指標「クラレコンピテンシー5x5」を導入し、人材評価項目や能力開発の指標として活用しています。また、各国各社毎に異なる資格等級を、職務サイズをベースとした基準によりグローバル・グレードとして整理し、人材配置や人材育成プログラムの受講者選定に活用しています。

・自律的なキャリア開発をサポートするしくみ

クラレでは社員が自分のキャリア構築に積極的に取り組み、一人ひとりが生き生きと働く組織を目指して、『自律的なキャリア開発をサポートするしくみ』を導入しています。その一環として3つの年代層(30、40、50代)に『自分でキャリアをデザインする研修』を実施しています。

2015年から2018年までの4年間に合計440名が研修を受講しました。
研修後には社内キャリアアドバイザーとの面談を行って、キャリア目標実現に向けたサポートを受けています。

公正・公平な制度

・人事諸制度

クラレは、年功や属人的要素ではなく、職務遂行能力の向上や業績・役割、高い目標へのチャレンジを処遇に反映する人事制度を導入しています。具体的には、管理職は役割・業績に応じて処遇する役割等級制度により、一般社員は能力伸長度・業績に応じて処遇する職能資格制度により、給与・賞与を決定しています。また、希望するキャリアパスに応じて育成コースを転換できる制度も取り入れています。

今後も、処遇制度の納得性をより一層高めるよう、賃金・手当・賞与・勤務制度の各分野について見直しを継続していきます。

・評価について

人事評価は上司と部下が面談のうえで、職務や能力開発上の目標を設定し、実績を評価する目標管理制度を取り入れており、評価者研修も継続的に実施しています。

ダイバーシティ(多様性)とワーク・ライフ・バランスの推進

クラレでは働き方改革や女性活躍推進の活動を通じて、多様な人材の能力を最大限活かし、組織力を向上することを目標としています。

・女性活躍推進

女性社員の採用人数増と職域の拡大、職場への定着の3点を重点的な課題として取り組んでいます。2018年度は、風土醸成・意識改革を目的とした部長クラスのワークショップや、準管理職クラスの女性社員を対象とした研修を実施しました。2019年度は、課長クラスの研修を企画・実施していく予定です。また、キャリアと家庭事情の両立支援策の拡充を進めていきます。

・働き方改革

クラレでは、『働き方改革』の取り組みを進めており、2018年度は意識変革に主眼を置き、以下の施策を実施しました。

①社員の多様な働き方ニーズに応えるべく、在宅勤務制度を導入(東京・大阪本社で18年度末までに73名がエントリー)。
②工場を含めたノー残業ウィークの試行。ノー残業「デー」では前後の日の残業が増えるだけの場合もあるとの問題認識から、仕事の段取りの向上、定時帰社の習慣化することを目的に、各人が特定の1週間を「ノー残業ウィーク」と宣言し定時帰社する。
③生産性向上手法の研修の実施。長時間労働の要因(環境要因と個人要因)の内、個人要因に目を向け、参加者が自身の仕事の進め方を見直すことで生産性を向上させることを目指す研修。
2019年度以降は、これまでの取組みに加え、全ての管理職の業務目標に「働き方改革への取り組み」を加えることの必須化、フレックス勤務の制度化、時間外削減時間相当分の社員への還元(時間外削減に積極的に取り組んでもらうために減った時間外分を賞与で還元する仕組み)など、様々な切り口から施策を進めます。

・育児介護休職制度

社員の育児・介護をサポートする制度を導入しています。育児休職は、保育園入園時期を考慮し、子どもが1歳を超えても休職が必要と認められる場合は、子が2歳に達する日まで取得できます。また、男性の育児参加を促進するため、男性の育児休職取得を推進しています。

育児休職・介護休職者数数【クラレ】
育児休職・介護休職者数[クラレ]
年度 育児 (うち男性) 介護
2014年度 46名 7名 2名
2015年度 48名 18名 2名
2016年度 43名 27名 0名
2017年度 52名 33名 0名
2018年度 52名 36名 0名

・配偶者海外転勤同行休職制度

配偶者の海外勤務等に同行する社員に対し、休職制度を適用し、配偶者の海外勤務等が終了した後に、クラレグループへの復職を可能とする制度を制定し運用しています。

・障がい者雇用

法定雇用率(2.2%)を達成するだけでなく、地域や障がい者の支援機関などとも連携して、障がい者の自立支援に取り組みます。地域の福祉施設と連携して知的障がい者のための作業所を開設しています。
※2018年4月より法定雇用率が2.0%から2.2%に改定されています。

心身の健康管理への取り組み

・労働衛生基本方針について

クラレグループは心身ともに健康で安全に働くことのできる職場環境を整備するため、「クラレ労働衛生基本方針」を制定しています。

・クラレ労働衛生基本方針

クラレグループでは、「私たちの誓約」に基づき、社員および関係者の安全と健康の確保が企業活動の基本と認識し、健康で安全に働くことのできる職場環境の整備と健康づくり活動に取り組みます。

・メンタルヘルスケアへの取り組み

4つのケア(セルフケア・ラインケアなど)の取り組みを通じて、メンタル不調の低減に努めます。ストレスチェックをはじめ、予防のための研修実施や、カウンセリングなどの相談の仕組み、休職者の職場復帰のためのリハビリ出勤制度などを整備・推進しています。

・ハラスメントへの取り組み

パワーハラスメント、セクシャルハラスメントを中心とした各種ハラスメントへの取り組みを通じて、社員の心身の健康確保と職場環境の改善に努めます。発生防止のための研修実施や、ストレスチェック結果等の活用、相談窓口体制の強化などを推進しています。

・健康づくりの支援

個別の健康指導や、健康づくり運動の推進などで、社員の健康意識向上を図ります。社員が自主的に生活習慣改善に取り組む「ヘルスアップ作戦」を全社的に展開しています。また、改善が必要な社員の早期発見のため、法律を上回る内容で健康診断を実施しています。