社会とのかかわり
クラレグループは1926年の創業当初より、企業はただ利潤のみを追求するのではなく、社会に貢献できてこそ存在する意義がある、との理念を持ち続けています。製品やサービスによって社会に貢献することはもちろん、長年培ってきた、日本国内の事業所および海外子会社が拠点を置く地域コミュニティへの貢献、創業時から引き継いできた文化や学術への貢献、そして社会的弱者への視点から福祉への貢献を重ねてきました。さらに2016年よりクラレの出資により一般財団法人クラレ財団を設立し、経済環境の変化に拘わらずに独自の観点からの継続的な社会貢献活動を実施しています。
クラレグループは2000年代以降、海外拠点の設立やM&Aによりグローバル企業に発展しましたが、そのことは世界規模で社会と対話し責任を果たすことを意味します。基本は各国の各拠点が現地の適した社会貢献活動を続けていきますが、2023年にはコロナ禍以前の活動を取り戻すことができるようにしています。また、クラレの社会貢献の理念を社会と共有し、協働して持続可能な世界に向けて活動ができるようにクラレグループを挙げて取り組んでいきます。
クラレグループ社会貢献活動方針
クラレグループは、社会の一員としての責任を果たすため、以下の方針に基づき、フィランソロピー活動に積極的に取り組む
活動のあり方
- 社会的な課題の解決につながる活動
- 国内外の事業拠点の地域社会に根差した活動
- 社員の主体的参加を重視した活動
- 長期的に持続可能な活動
活動の領域:「文化」「学術」「環境」「福祉」を重点領域とする。
地域社会とともに
クラレグループは、国内に8か所、海外に16か所の生産拠点を有する化学メーカーです。地域の皆様に育てていただいた感謝を込め、これからも地域を愛し、地域とともに誠実に歩んでいきたいと考えています。
2022年はコロナ禍にあって、地域の皆様との交流や対話が限られてしまいましたが、それでも感染対策を考えながら工夫をこらし、できる範囲でのイベントや社会貢献活動を行ってきました。
日本国内
倉敷事業所、くらしき研究センター
スポーツイベント(少年サッカー大会)やフェスティバル(サマーフェスティバル、クリスマスファンタジー)は規模を縮小し、協賛型や簡易型の開催となりましたが、継続して地域の方との交流を続けています。また、地元の公園や河川、こども園の清掃や芝刈りなど、コロナ禍でも実施できるボランティア活動を進めました。少年少女化学教室「おもしろ化学館」は休止していましたが、2023年度からの再開を検討しています。寄付活動はマッチングギフト「ふれあい募金」で、地元小学校やこども園へ遊具などを贈り、活用いただいています。
西条事業所
毎年4月に、大勢の市民の方に来ていただいている恒例の「観桜会」は、残念ながら休止中ですが、代わりに地域の方に写真を撮っていただく「桜撮影会」を実施しました。ふれあい募金では、毎年近隣小学校へ「クラレ文庫」として図書を寄贈しており、継続しています。少年少女化学教室「わくわく化学教室」は実施を見合わせましたが、23年度から再開する予定です。また、西条市の文化地域にある愛媛民芸館を、長年にわたりサポートしています。
岡山事業所
岡山では教育支援活動や清掃活動に重点を置いています。近隣の小学校から絵画・書を募集し、商業施設にて「絵画・書道コンクール」を継続して実施しているほか、ふれあい募金による小学校への図書寄贈も続けています。児島湖の清掃活動には2022年は規模を縮小して参加しました。スポーツ大会やフェスティバル、「おもしろ化学教室」は休止していますが、2023年度の再開を目指し、開催内容を検討しています。また、新たな取り組みとして、地域の方との「親睦ゴルフコンペ」を開催し、懇親会で事業所の近況報告や意見交換を行うことができました。
新潟事業所
自然環境、生活環境に貢献し、地域から信頼される事業所を目指しています。「観桜会」は感染防止対策に注意しながら継続して実施しました。また、森林保全を目的として新潟県の森づくりサポート事業に賛同し、従業員と家族で近隣の森の剪定作業等を行う「ミラバケッソの森づくり」活動も従来通り行いました。中学生のソフトテニス大会は、指導会の形に変えて継続、少年少女化学教室「ふしぎ実験室」も回数を減らし、事業所でなく小学校へ出向いて実施しました。ふれあい募金は2022年に新潟県北部水害で甚大な被害にあわれた地域の小学校・保育園等へスポーツ用品・玩具・絵本・紙芝居などを寄贈し、役立てていただいています。近隣地域との意見交換会も、地区の訪問を再開しました。夏祭りや障がい者施設とのサッカー交流は休止しましたが、2023年度はコロナ禍前の状態に戻しての実施を検討しています。
鹿島事業所
少年少女化学教室「おもしろ化学教室」を、感染対策を万全にして、小学校に出向く形で実施しました、マスクやフェイスシールドの下からでも笑顔がのぞく、楽しい教室となりました。ふれあい募金では毎年、近隣小学校に図書を寄贈していますが、各学校訪問の際に校長先生方に「ランドセルは海を越えて」活動を説明し、6年間使い続けたランドセルの寄付をお願いしています。地域住民の方とのレクレーション(ママさんバレーボール大会や障がい者施設との運動会)は残念ながら休止しましたが、23年度の再開を目指しています。
鶴海事業所
子供たちが自らの手で実験を行うことで化学に興味を持ってもらいたい、また地域の方にもっと事業所のことを知ってもらいたいという思いから、2019年以降、地元観光協会と連携した公開型化学教室を開催、2022年度も実施しました。2023年度は新たな取り組みとして生物多様性学習イベントを開催する予定です。海と陸の豊かさを守り、住み続けられる街づくりを合言葉に、近隣の清掃活動に積極的にも取り組んでいます。事業所近隣の岡山ブルーラインの待避所や県道のゴミ拾い、小学校のグラウンド整備に多くの社員が参加しています。
つくば研究センター
当センター従業員の弱視の方の縁で、ロービジョンフットサルのスポンサーをしています。これをきっかけに当センターのフットサル同好会が、子供たちの練習会を一緒にやっていこうと、社会貢献部会を作り考え出しています。
大阪事業所
大阪事業所はオフィス地域で地元との直接的な交流はあまりありませんが、働く人をつなぐ梅田ゆかた祭りや、梅田の良さを再発見する梅田ミーツアートへの協賛、参加を通じて、地域の役割を果たしていきます。また、公益財団法人大阪日本民芸館の評議員の一員として、伝統工芸品の優れた技術を伝える役割の一旦を担っています。
東京本社
東京本社はオフィスの中心地であり、地域との直接交流は多くありませんが、同じビルで働く他企業との交流、ビルオーナー主催のテナント交流運動会への参加、災害備蓄品の寄付や、従業員の社会貢献活動への助成を行っています。また、「ランドセルは海を越えて」イベントの推進、クラレ財団の運営、社会貢献関連寄付の管理を、責任をもって実行しています。
(2022年はコロナ禍で人数を絞り実施)
海外拠点
クラレヨーロッパ
クラレヨーロッパでは、事業や製品、サービスによる社会への貢献はもちろん、自らを社会の一員とみなし、地域社会の幸福を促進する責任ある活動を目指し、コロナ禍においてもできる限り行動に移しています。
教育機関と連携したボランティアイベントとして、NGOの開催するマルタ社交デイに参加し、本社のあるハッタースハイムと製造拠点のトロイスドルフのチームは、それぞれの地元の小学校や保育所で、遊具の修理を行い、テラスを作り、校舎や校庭を装飾やマーキングで明るくして愛情たっぷりのケータリングサービスで、青空の下多くの子供たちと楽しい時間を過ごしました。また、ステップチャレンジという、会社の仲間たちと一緒に一定期間にできるだけ多く歩いて、ステップの距離換算により持続可能プロジェクトへの寄付額を積み上げるユニークな取り組みも続けています。クリスマス・イン・シューボックスは、長年にわたり継続しているボランティアで、従業員がかわいい靴箱の中におもちゃやお菓子を詰めて、困難な状況にある子供たちに心を込めて贈っています。これ以外にも、毎年従業員の発案をベースに、数多くの社会的プロジェクトへの寄付活動を続けています。2023年度も引き続き、持続可能な世界に貢献できる活動を続けます。
クラレアメリカ
私たちは、責任ある企業市民として、工場のある地域社会への貢献を第一に考え、教育-特にSTEM-、環境保全、健康、安全、日本文化の理解促進を中心に活動しています。また、社会貢献活動ガイドラインを作り、マッチングギフトやボランティア助成金プログラムにより従業員の積極的な取り組みを支援しています。
2022年もガルベストンベイ財団の主催するテキサス州で最も大規模な湾岸清掃活動であるTrash Bash参加し、従業員ボランティアたちが湾の生態系と周辺地域の環境保護に活躍しました。同じく、湾の環境保全を支援するバイクアラウンドベイにも参加しました。さらに、非営利財団ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ベイタウンが主催する、困っている家庭に経済的価格の住宅を提供する活動を支援しました。クリスマスシーズンには、従業員が非営利財団デペルチンチルドレンズセンターにおいて、おもちゃ等のギフトや家庭用品を購入するための寄付活動を主催しました。さらに、文化イベントであるフェイエットビル国際フォークフェスティバルへの参加や、ヒューストン自然科学博物館のGEMS(女子学生の数学と科学の探求)活動をしました。
モノソル
2022年のモノソルの社会貢献活動は、”地域社会への恩返し”との考えのもと、従業員チームで、困っている人々への食事の提供をはじめ、地元のビーチや道路等屋外エリアの清掃活動を実施しました。また、難病でお子さんを亡くされた従業員とともに、子供の難病治療法研究に焦点を当てている組織に寄付するための募金活動を行いました。
これらのイベントに加えて、企業として直接の生産活動以外での二酸化炭素排出量の削減にも取り組んでいます。発泡スチロールのコップや使い捨てのペットボトルは、環境にやさしい紙コップに置き換えました。また、2023年度は、各種の記録やのデータ追跡に使用する紙の量を減らすためのプログラムを開始する予定です。
での食事提供
カルゴンカーボン
カルゴンカーボンでは、2022年もコロナ禍で多くのイベントが休止され限られた活動となる中でも、社会事業やボランティア活動を提供するいくつかの機関に貢献しました。
従業員のチームは毎年、ペンシルベニア州南西部のほぼすべての地域で困っている人々にサービスを提供するユナイテッドウェイに参画しています。彼らはまた、地元ピッツバーグ植物園庭の清掃ボランティアをしています。また、スペシャルオリンピックスのホッキョクグマプランジにも参加しました。このイベントは 、ペンシルベニア州の知的障がい者をサポートします。私たちは年間を通じてさまざまな就職説明会にも参加しています。2023年は地域コミュニティ再開に伴い、より多くの活動を行っていきます。
プールに飛び込む役員
上記以外の取り組み以外にも、クラレグループは世界中の拠点のある地域で、心を込めて社会貢献活動を実施していきます。
困難な時代を乗り越えるために
日頃は各拠点で独自に活動を進めていますが、2022年はクラレグループで連携してウクライナ避難民の支援を実施しました。中心となったのは同国出身者も働いているクラレヨーロッパと、隣国ポーランドに新プラントを建設中のモノソルです。人道支援NGOへの寄付はもちろん、小学生らと共に行う募金キャンペーンや、避難民への住居、衣料、食事および医療品の提供を実施しました。クラレグループとしても国連機関への寄付を実施しました。戦争のような困難な状況でも企業はできることをやっていくべきと考えています。
日本では、クラレが小学生に使い終わったランドセルの募集を働きかけ、その中に文房具や手紙を入れてアフガニスタンの子供たちに贈る活動「ランドセルは海を越えて」を長年実施してきましたが、現地の子供や母親たちの困難な状況を理解し、クラレ財団により公益財団法人ジョイセフを通じて母子医療に特化した支援を実施しています。
チェックするカウンセラー
大規模災害支援
クラレには大規模災害支援規定があり、甚大な被害に被った地域への援助を行っています。グループ拠点地域が中心になりますが、上記のように、世界的に大きな災害と判断した場合、適格な寄付先を選定して迅速な支援実施を目指しています。クラレが初期的な対応を中心とする一方、より長期的な視野で活動を行うクラレ財団では、復興フェーズへの移行に伴い発生する新たなニーズに対応しています。
文化の薫り高い企業として
クラレは、日本の倉敷市という文化の薫り高い地から創業しました。創業者が明治の時代でありながら、地元市民のためにと西洋絵画を収集し、それが世界的にも有名な大原美術館の設立につながりました。クラレはその生い立ちから文化を大切にし、大原美術館や愛媛民芸館をはじめクラレゆかりの文化施設サポート、クラレ財団での日本文化研究者の顕彰、絵画修復、若手美術家の育成等、多くの文化施設、文化活動を支援しています。
顕彰する人間文化研究機構を支援
障がい者とともに
クラレの国内5事業所では、1997年から知的障がい者の働けるクラレ作業所を設置し、障がい者雇用に熱心に取り組んでいます。また、クラレ財団では、企業の障がい者雇用促進に資するため、公益財団法人大原記念労働科学研究所を支援し、知的障がい者の就労と雇用後の定着に向けた課題解決の方策を、労働科学の手法により研究してもらい、研究成果は一般に提供しています。
職場の環境づくりマニュアル
Focus:ランドセルは海を越えて
「ランドセルは海を越えて」は、戦禍によって教育機会を奪われたアフガニスタンなどの子どもたちに、毎年、日本の小学生が使っていたランドセルを文房具や手紙を添えて贈る国際貢献活動で、これまでアフガニスタン・モンゴル・ネパール・カンボジアで活動実績があります。
2004年のスタートから19年目を迎えた2022年度は、全国各地から8,024個のランドセルの提供がありました。このランドセルは、10月~12月にかけてアフガニスタンのナンガハール州にある小学校に学用品と合わせてプレゼントされました。今までの累計は、149,840個になりました。今後、他の国にも支援の輪を広げたいと考えています。
年度 | 個数 | 年度 | 個数 |
2004年度 | 8,514 | 2014年度 | 7,908 |
2005年度 | 12,076 | 2015年度 | 7,111 |
2006年度 | 5,504 | 2016年度 | 7,732 |
2007年度 | 6,894 | 2017年度 | 6,857 |
2008年度 | 7,022 | 2018年度 | 8,076 |
2009年度 | 7,522 | 2019年度 | 7,938 |
2010年度 | 8,973 | 2020年度 | 6,010 |
2011年度 | 11,144 | 2021年度 | 7,813 |
2012年度 | 8,326 | 2022年度 | 8,024 |
2013年度 | 6,396 | 累計 | 149,840 |