リスクマネジメント
リスクマネジメント・コンプライアンス推進体制
クラレは「リスク・コンプライアンス委員会」を中心にグループとして定期的にリスクをモニタリングし、経営に影響を及ぼす重大リスクを抽出しています。この重大リスクを社長に提案、社長が重要なものを経営リスクとして特定し、取締役会を経て重点対策を実施しています。「リスク・コンプライアンス委員会」は経営リスクに対する重点対策、ならびに法令遵守・企業倫理の徹底・公正な企業活動の実践を実現すべく活動を行っています。
リスク管理方針
社長が各組織に示達するクラレグループのリスク管理方針は、グループのリスク管理全体に渡る長期的・継続的な「基本方針」と社会情勢、当社・他社動向に鑑みて当該年度に重点的に取り組む「重点課題」から成り、リスク対応の基本的な考え方を維持しつつ、リスク環境の変化に柔軟・迅速に対応できるようにしています。また「重点課題」は社長が、重点対処リスクの低減に取り組む上での具体的な課題を組織に明示し、着実な実施を指示するものです。
2022年度 クラレグループリスク管理方針
- 【基本方針】
-
- 社会の信任を裏切る違法、不適切な行為の防止を徹底する。
- 社員・地域・顧客・協業先等の安全と健康を脅かす事故・災害(保安事故、労働災害、環境汚染、製品事故等)の防止を徹底する。
- 事業・社会に深刻な影響を与える事象の発生時において、社会の信任、安全と健康を確保し、事業を継続または早期回復させるための対策に取り組む。この場合、社会の信任、安全と健康を、事業の継続または回復よりも優先する。
- 【重点課題】
-
上記方針および近年の社会情勢、当社・他社動向から以下を2022年度の重点課題とする。
- 機密情報漏洩について、早急な対策を実施し再発を防止する。
- 保安事故の発生リスク低減のため、特に海外プラントの安全設計のみならず人材育成を含む管理面(運転管理、設備管理)の総点検で把握した課題への対策実施状況を、社内専門家チームによる監査等で客観的に評価し着実な改善に繋げる。
- 原燃料・副資材の供給リスクに対し、サプライチェーン視点で汎用品を含む全てを再点検し、より包括的なBCPを策定する。
- COVID-19に対し引き続きパンデミックへの備えを確実にする。
なお、2021年度の重点課題、及びその具体的な施策は以下の通りでした。
- 【2021年度重点課題】
-
- 保安事故の発生リスク低減のため、特に海外プラントについて安全設計のみならず人材育成を含む管理面(運転管理、設備管理)を総点検し、把握した課題に対し実効性の高い対策を確立する。
- グローバルに統一したレベルの機密情報管理体制を整備し、データの保全対策を順次強化する。
- 独占禁止法についてグローバルに構築した独禁法遵守プログラムを確実に運用し、再発防止を徹底する。
- COVID-19の緊急対応を踏まえ感染予防策・感染拡大防止策等を徹底し、パンデミックに対応した事業継続を確実なものとする。
- 【具体的な施策】
-
- 海外化学プラントにおける保安防災リスクの把握と対策のため、推進チームによる進捗管理の体制を継続しました。対策の進捗状況は当該事業部のスタッフに、当該拠点のコーポレートHSE(Health Safety Environment)スタッフを加え、客観性を増した監査で確認をしました。また国内では、火災・爆発及び有害物漏洩に関する個別リスクについて計画に則った対策を継続するとともに、新規設備投資リスク検討、非定常リスクアセスメント、人的要因防止のとり組みや保全作業の安全確保等に努めました。
- 2021年10月1日に当社が運用するサーバーに不正アクセスが行われ、緊急対策本部を組織し、全社対応を開始しました。保有する情報の一部が外部に流出したことを確認し、更なる情報流出を防ぐため、外部の専門機関と連携して詳細な調査を行い、不正アクセスの経路を遮断するなどの対策を講じています。また2021年11月にグローバルで統一した「クラレグループ機密情報管理ポリシー」を制定し、周知活動を実施しています。
- 全世界のクラレグループ各社を対象としたグループ独禁法遵守プログラム(関連諸規定の整備、役員および従業員に対する教育・研修、事業毎のリスクアセスメント、入札参加事業の監査等)を運用し、モニタリングを実施しました。
- 新型コロナウィルスの感染拡大に対し、グローバル方針による出張規制、国内・海外各社でのマスク着用・検温・三密回避等の行動規制、オフィス勤務者の在宅勤務・時差出勤等の勤務対応、生産事業所における入場制限などを実施し、予防に努めました。また生産継続に万全を期すため、生産事業所のBCP(事業継続計画)を感染状況に応じて順次見直しています。
リスクマネジメント
クラレグループのリスク管理は、各事業部、本部、室、事業所、関連会社が自組織のリスクを特定し、自己評価して適切に対応するタテのリスク管理と、発生するとマイナスの影響のみを与える純粋リスク(例えば、自然災害、法令違反など)を担当する本社のスタッフ部署が評価を行い組織横断的な管理を行うヨコのリスク管理を行っています。これらのリスクの中からリスクが高く全社一体となってリスク低減に取り組むべきリスクを「リスク・コンプライアンス委員会」で協議・抽出し、社長が経営リスクとして特定し、取締役会に報告すると同時に、担当役員を責任者として指名します。経営リスクは前述の重点対処リスクと継続管理リスクに分類し、それぞれ適切な対策を進めます。2021年度の継続管理リスクは次のとおりです。
- 原材料に関わるリスク
-
- 原料・機材の供給停止
当該リスクは、サプライヤーの事故・災害による供給停止の可能性を含め対策を実施しています。
- 製造物責任に関わるリスク
-
- 品質リスク
品質リスクには、製品に含まれる化学物質の適切な管理を含めた対策を行っています。
- 事故・災害に関わるリスク
-
- 化学物質規制
- 自然災害
自然災害リスクでは、気候変動がもたらす異常気象や激甚災害へのリスク評価および対策を強化しています。
- 法規制・コンプライアンスに関わるリスク
-
- コンプライアンス
- 贈収賄
贈収賄について世界各国での規制の厳格化や当社グループの事業拠点の拡大に伴い、防止体制の強化が必要となっています。2015年に制定した「クラレグループグローバル贈収賄防止ポリシー」に沿って対策を進めています。
- 知的財産に関わるリスク
-
- 知的財産権侵害
当該リスクは、当社グループの知的財産権を侵害される場合と当社グループが他社の知的財産を侵害する場合の両方についてリスク評価および対策を実施しています。