環境報告

地球温暖化防止

国内グループではCO2排出削減努力(バイオマス燃料の使用量拡大、廃プラスチックの燃料化、運転効率化、省エネ機器への更新、地道な省エネ活動(ムダ取り活動)等)により、2017年度は9.6千トン-CO2の排出削減対策(2011年度からの累計で160千トン-CO2削減)を行い、総排出量は1,330千トン-CO2となりました。その結果、国内グループの環境効率は2010年度対比で8.7%向上していますが、中期計画の2017年度目標値(2010 年度対比28%向上)には届いていません。

一方、海外関係会社においては、新設した製造拠点の稼働率上昇、および、既存設備の生産能力増強等により、エネルギー消費量は500千kL(原油換算)となりました。環境効率は2014年度以降低下し、2017年度は基準年の2010年度を下回る結果(2010年度対比9.1%減少)となりました。これはポバール樹脂原料のビニルアセテート事業を買収し、自製化したことで、エネルギー使用量が増大したにもかかわらず、売上高への影響は軽微であったことが大きく影響しています。

国内グループ 1,330千トン-CO2
(2016年度 1,303千トン-CO2
海外関係会社 500千kL-原油換算
(2016年 437千kL-原油換算)

バイオマス燃料発電

クラレでは倉敷事業所で石炭の代替燃料としてバイオマス燃料(建築廃材等の木材チップ)を導入し、逐次投入量を拡大してきました。2017年は、約43千トンのバイオマス燃料を投入したことにより、およそ65千トン-CO2の排出削減に貢献しました。今後も引き続きバイオマス燃料の投入量を増やす取り組みを進めていきます。

※自らが成長する過程で大気中のCO2を吸収しているため、燃焼させた際に発生するCO2は差し引きゼロと考えることができます。

製品輸送時の環境負荷低減

クラレでは事業所等での製品製造時に自らが排出する温室効果ガス(GHG)のほかに、製品をユーザーへ輸送する際の物流段階での環境負荷の低減にも取り組んでいます。トラック輸送から貨物列車、船などへ輸送手段を転換する“モーダルシフト”の取り組みを継続して進めた結果、2017年度の排出量は、12千トン-CO2となりました。

Scope3における GHG排出量

GHGプロトコルではGHG排出量をScope1、2、3の3つに区分しています。

・Scope1(直接排出量);
自社の事業所等で燃料などを燃焼させることで発生するGHG排出量
・Scope2(間接排出量);
他社から供給された電気、熱、蒸気など購入エネルギーに伴うGHG排出量
・Scope3(その他の間接排出量);
Scope1、2以外のサプライチェーン全体(原材料から製品の廃棄まで)におけるGHG排出量

このうちScope1、2は事業者が自主的に算定し国に報告することが法で義務付けられており、クラレでも国に報告するとともにCSRレポート等で公表してきました。

一方、サプライチェーン全体を考慮したGHG排出量であるScope3の算定は、クラレの直接的な事業活動による排出量だけではなく、原材料の調達から製品の流通、使用、廃棄に至るライフサイクル全体の視点から排出量を把握するもので、2013年度から算定を継続しています。

Scope3の全15カテゴリのうち、当社非該当、あるいは、算定範囲が当社製品群のごく一部のため公表対象外としたカテゴリを除き、排出量が比較的大きい5カテゴリ(下図の①~⑤)について2017年度実績を算定しました。また、クラレグループ製品のカーボンライフサイクル評価によるCO2削減効果の定量化も継続して進めていきます。

※GHGプロトコル(The Greenhouse Gas Protocol):世界資源研究所(World Resource Institute;WRI)と世界環境人協議会(World Business Council for Sustainable Development;WBCSD)が中心になり、世界中の企業、NGO、政府機関等が参加して温室効果ガス/気候変動に関する国際スタンダードや関連ツールを開発するイニシアティブです。

[Scope3] サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量管理イメージ
(図中の①から⑮はScope3のカテゴリを示す)