クラレグループのCSRマネジメント

リスクマネジメント

リスクマネジメント・コンプライアンス推進体制

クラレはリスクマネジメントおよびコンプライアンス推進体制を強化するため、2017年度に「CSR委員会」から「リスク・コンプライアンス委員会」を分離し、取締役会に直接報告を行う委員会としました。「リスク・コンプライアンス委員会」を中心にグループとして、重要リスクへの重点対策および法令遵守・企業倫理の徹底・公正な企業活動の実践を実現すべく活動を行っています。

リスクマネジメント

クラレグループでは、社長が毎年リスク管理に関する「基本方針」と「年度課題」を組織に示達し、各組織が長期的継続的なリスク対応の基本的考え方を維持しつつ、リスク環境の変化に柔軟・迅速に対応できるようにしています。

各組織の長が自組織のリスクを特定し、自己評価して適切に対応するとともに、「リスク・コンプライアンス委員会」はこれらの中から経営レベルで管理すべき重要なリスクを抽出し、経営および取締役会に報告するとともに、担当役員を指名し重点的な対策を進めています。

クラレグループリスク管理方針

社長が各組織に示達するクラレグループのリスク管理方針は、グループのリスク管理全体に渡る長期的・継続的な「基本方針」と社会情勢、当社・他社動向に鑑みて当該年度に重点的に取り組む「年度課題」から成り、リスク対応の基本的な考え方を維持しつつ、リスク環境の変化に柔軟・迅速に対応できるようにしています。2017年12月に示達された2018年度の管理方針は次の通りです。

2018年度 クラレグループリスク管理方針
【基本方針】
  • 社会の信任を裏切る違法、不適切な行為の防止を徹底する。
  • 社員・地域・顧客・協業先等の安全と健康を脅かす事故・災害(保安事故、労働災害、環境汚染、製品事故等)の防止を徹底する。
  • 事業・社会に深刻な影響を与える事象が発生した際には、社会の信任、安全と健康を確保し、事業を継続または早期回復させるための対策に取組む。
    (社会の信任、安全と健康をまず優先し、その上で事業の継続・回復に取組む)
【年度課題】
  • 独禁法をはじめとする法令違反リスクの再点検を進め、対策を強化する
  • 自然災害に対するリスク低減対応を進める
  • 品質への対応を強化する

リスクマネジメント

クラレグループのリスク管理は、各事業部、本部、室、事業所、関連会社が自組織のリスクを特定し、自己評価して適切に対応するタテのリスク管理と、発生するとマイナスの影響のみを与える純粋リスク(例えば、自然災害、法令違反など)を担当する本社のスタッフ部署が評価を行い組織横断的な管理を行うヨコのリスク管理を行っています。これらのリスクの中から経営レベルで管理すべき重要なリスクを「リスク・コンプライアンス委員会」で協議・抽出し取締役会に報告すると同時に、担当役員を指名し、重点的な対策を進めています。

コンプライアンス

グループのコンプライアンス

クラレグループは、多様な社会との接点において遵守すべき事項を「私たちの誓約」として、またこれを企業活動の中で具体的に実践するためのガイドラインを「行動規範」として定めています。そして、法令および「私たちの誓約」を厳守することを経営トップが宣言しています。これを世界中のクラレグループ社員に周知するため、トップ宣言を明記し、「行動規範」をわかりやすく解説したコンプライアンス・ハンドブック(8言語:日、英、独、中、韓、露、フラマン、チェコ)を作成し、社員に配布しています。
ウェブ参照

また、クラレ各地域拠点およびグループ各社にコンプライアンス統括者を選任するとともに、地域別にコンプライアンス委員会を設けています。地域別委員会では「リスク・コンプライアンス委員会」で決定した全社テーマの他、地域特有のテーマについても効果的な取り組みを行っています。

内部通報制度

クラレグループでは、コンプライアンス違反を防止、または早期に発見・解決するための内部通報制度として、国内クラレグループ全社員(契約社員、派遣社員、パート社員を含む)を対象に「クラレグループ社員相談室」を設置、また欧米の主要拠点にも内部通報窓口を設けています。

近年、M&A等により急速にグローバル化が進展したことから、窓口が未整備の海外拠点について整備を進め2017年度には欧州の一部拠点を除き内部通報窓口へのアクセスを可能としました。

コンプライアンス徹底の取り組み

当社は2016年3月に防衛装備庁が発注する繊維製品の競争入札に関して、公正取引委員会の立ち入り検査を受け、2017年3月に独占禁止法に違反する行為があったとして同委員会より排除措置命令を受けました。

この立ち入り検査以降、2016年度に当社は、グループの役員・社員すべてに向けて独占禁止法の遵守およびコンプライアンスの徹底を命じるトップメッセージを発信すると共に、社外専門家を招き営業職および東京・大阪本社の管理職全員を対象とし独占禁止法に係るセミナーを開催すると同時に、各事業部で違反事例等に照らし取引の総点検を行いました。また、法令遵守に主眼をおいた就業規則の見直しや同業他社との接触ルールの整備などを行いました。

しかしながら、2017年2月に浄水施設、ごみ焼却施設等で使用される活性炭の製造販売に関して、再度公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。この事実を厳粛、かつ真摯に受け止め、同委員会の調査に全面的に協力すると同時に、再発防止とコンプライアンスの徹底に向けて以下の取り組みを行いました。

トップメッセージの発信

社長がグループの役員・社員すべてに向けて独占禁止法の遵守とコンプライアンスの徹底ならびに自身の業務の再点検を命じるメッセージを改めて発信しました。特に事業関連部署の在籍者にはビデオメッセージにより独占禁止法の再発防止策の徹底を指示しました。

コンプライアンス強化月間

2017年8月から10月をコンプライアンス強化月間と定め次の施策を実施しました。

①独占禁止法セミナー
国内グループの事業関連部署の全員を対象にセミナーを行いました。少人数で事例検討を行い、その結果を弁護士による解説と比較することで、各自の認識と法的水準のズレを点検し独占禁止法違反に対する意識を高めました。
また、参加者全員から独占禁止法を遵守する旨の誓約書を取得しました。
②コンプライアンスセミナー
国内グループの全社員(契約社員、派遣社員、パート社員を含む)を対象に部署にひそむコンプライアンスリスクを部署全員で考えることを目的としたセミナーを展開しました。
③取引の総点検
独占禁止法セミナー終了後に事業部および関係会社にて再度取引の総点検を行いました。

システムの整備

同業他社との接触を定常的にモニタリングするシステムを構築し運用を開始しました。