Q | サウナもオーブンレンジも今は「スチーム」が流行りですね。 スチームジェットも蒸気を使うんですか? |
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A |
ええ。スチームジェット技術は、三菱レイヨン・エンジニアリング(株)が開発した設備をクラレクラフレックス(株)が世界で初めて導入したものです。これまでの不織布の製法でよく知られているものにスパンレース製法がありますが、これはシャワーのように水をたたきつけて繊維をからめるものでした。一方、スチームジェット技術は、水の代わりに加熱した高速の水蒸気を吹き付けて繊維を瞬時に反応させます。水にさらさないので不織布を乾燥させる時間を短縮でき、製造エネルギーを従来の3分の2程度に抑えられるのも特長です。 |
Q | どんな不織布ができるんですか? |
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A |
スチームジェット技術による<フェリベンディ>はクラレグループの独自繊維素材と組み合わせることで、さまざまな特長を持たせられます。例えばEVOH<エバール>を原料にした繊維を見てください。下の写真で表面の部分がくっついているのがわかりますか? |
Q | 不織布の「布」のイメージがくずれました。ほかにはどんな特長があるんですか? |
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A |
潜在捲縮繊維と呼ばれるバネだらけの繊維「ミクロクリンプ」を使った不織布もおもしろいですよ。これを巻いてみてください。「ミクロクリンプ」が持つ伸縮性を発揮する伸縮包帯と言って、熱でたくさんの細かいらせん状に変形した繊維が互いにひっかかる構造になっているんです。包帯の端をテープで留めなくても、軽く手で押さえるだけでくっつくので、医療向けやスポーツ用テーピングに役立ちます。 |
Q | 繊維の特長をうまく引き出していますね |
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A |
ええ。さらにEVOH繊維と「ミクロクリンプ」を組み合わせると、ちょうど伸縮性を持ったクッション素材の不織布ができ上がります。繊維でできているので、一般のウレタンと違って通気性があります。人の肌に触れるサポーターや下着のクッション材、ヘルメットの内側にも展開を見込んでいます。 |
Q | 今後の展望は? |
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A |
最近は素材の「軽量」が価値として見いだされる時代になりました。特に自動車や航空機、建材などの市場はその傾向が強く、硬くて厚みのある軽量な<フェリベンディ>のボードはその価値を引き出せると考えています。クラレの独自繊維素材を出発点とした<フェリベンディ>は新しい不織布へのチャレンジであり、繊維が見せる日本のものづくりの事例のひとつになるとうれしいですね。 |